伊豆半島 2004/10/2

自転車

伊豆・自転車ワンダリング報告書

日時:2004年10月2日
メンバー:L廣光(2年) SL古川(2年) 太田(新人) 鳴海(新人) 米山(新人)

地形図:ツーリングマップル関東甲信越
主旨:~伊豆の自然と歴史を感じながらのツーリング~
天城越え、そして最南端の石廊崎へ
 


 
10/2
8:30修善寺9:00-10:10浄蓮の滝10:30-11:35旧天城トンネル11:45-12:25新町の大ソテツ12:35-13:45下田14:00-15:10石廊崎16:10-17:15下田

 この日の集合時間は8:30に修善寺、自転車は本来なるべく早い時間に行動を開始したいのだが、早朝に各自家を出発するということなのでしかたがない。集合して、まずは自転車を組み立てる。夏合宿自転車隊の面々は手つきも慣れたものであるが、今回が初めてという太田も指導の甲斐あり、てきぱきと組み立てている。自転車チェックも終わり、体操して早速出発しようとするが、何か大事なことを忘れている。そういえば、まだ朝食を食っていなかった。他にもそういう者が何人かいたので、まずはコンビニによって腹ごしらえ。その後気合を入れ直して出発する。

 まずは天城峠に向かって、だらだらとした長いのぼりを上っていく。予想していたことではあるのだが、自動車の通行量が少々多い。北海道の広い道を好き勝手に走っていたときと比べると、やはり幾分かストレスを感じるのは否めない。まあこればっかりは我慢するよりしかたのないので、もくもくと距離を稼いでいく。しばらくこいでいると、太田がすこし隊のペースから遅れだす。まあこれも仕方がない。初めてのツーリングで、慣れない自転車と荷物で坂道を登るというのは、相当大変なことである。自分にあったギア比やペースが分からないので、体力があってもてこずってしまう。自分も実際に経験しているので気持ちはよく分かる。

 そうこうしていると、伊豆半島一の名瀑といわれる浄蓮の滝に着いた。さっそく米山がわさびソフトなるものを購入する。味見さしてもらったが、残念ながら変な味だったということしか記憶にない。浄蓮の滝は規模こそ小さいものの、滝壺に上がる水しぶきの迫力が凄い。水がきれいで、アユやヤマメなどが放流されているらしく、すぐそばでは山葵がたくさん栽培されている。しばし休憩後、天城峠へ向かって再び距離を上げていく。天城峠まではもう少しなのであるが、やはり太田が相当辛そうである。本人いわく、まったく進んでいる気がしないらしい。前とのペースがかなり開いてきたので仕方なく古川に、他の新人を率いて先に行ってもらうように指示する。こういう時はマイペースで行くより仕方が無い。しばらくいくと峠の手前で新道と旧道に分岐しており、旧道のほうへ向かう。今回はこの先にある、旧天城トンネルへ行くのが目的の一つなのである。ダートを2kmほど進み、ようやくトンネルに到着した。

 この旧天城トンネルは「伊豆の踊り子」で知られる1905年築の石組みトンネルで、実に100年も前の代物である。通っているときそんな気はしていたのだが、やはり心霊の名所でもあるらしく生首が追いかけてきたなどの噂が耐えないらしい。それもそのはず、トンネル内は灯りがあるにはあるが、とても薄暗く足元は見えない。また壁や天井のあちこちから水滴がボトボトと滴っており、トンネル内を漂う空気はおそろしく涼しい。またトンネル内だけでなく、道から少し離れた辺りは木々に光が遮られとても薄暗く、天城峠がいかに難所であったかを窺うことができる。歩いていると後ろから車がやってきたらしく、物凄い爆音がトンネル内に鳴り響く。これでは霊もおちおち眠れないに違いない。

 トンネル内の雰囲気を満喫した後は、いよいよお楽しみの下りが始まる。景色がとてもきれいで、なかなか爽快である。そして有名な東日本唯一のループ橋にさしかかったが、これがなかなかの迫力で、まるで空中を走っているかのような720゜回転を楽しむことができる。ループを走ることによって生み出される遠心力が、そうさせているのだろう。病み付きになりそうな気持ちよさである。その後も下りは続き、樹齢千年の大ソテツなどを見学して海岸線の河津浜に出た。ここから下田までは14kmの道であるが、これがなかなかの悪路である。歩道は無いのに交通量は多いは、ただでさえアップダウンのキツイ道が入り江に沿ってジグザグしているは、といった具合で、太田だけでなく他のメンバーもどんどん体力を消耗していく。下田には、リミットを設定した2時の15分前にようやく到着することができた。

 下田といえば、やはり開国の歴史で欠かすことのできない場所である。海のほうを見るとペリーが乗ってきた黒船を模した、遊覧船のような船が走っている。しかし下田が開港場として栄えたのはわずか5年余りなのである。その理由は今回身を持って納得できたが、やはり江戸に行くために天城山を越えるのは容易ではなく、横浜のほうが便利なのは至極当然である。ここから石廊崎まではまだ17kmもあり、2時には間に合ったが太田はかなりしんどそうである。しかし本人が大丈夫ということで、頑張って出発することにする。ここまでくれば体力というよりは、もはや気力の問題になってくる。一時間ほど走ってようやく石廊崎の駐車場にたどり着いた。

 駐車場から石廊崎へは20分ほどの道を歩かなければならない。そうしてたどり着いた石廊崎は、神社が断崖にへばりつくように建っており、太平洋に飛び出した断崖絶壁の上に絞め縄が施され、縁結びの神が祭られている。海の向こうには伊豆諸島が広がり、眼下には岸壁に打ち寄せられる白波や、海から突き出した奇岩が見るものを飽きさせない。しばしの間心地よい疲労感とともに、風景に見とれながらたわいも無い話をした。こういう時間は、まさに旅をして良かったと思える一瞬である。そして伊豆半島の先を極めるという目標も、無事達成されたわけである。駐車場に戻ると古川が昼寝をしており、結局岬には来なかった。なんのためにここまで来たんだという感じであるが、本人はまったく問題ないらしい。自転車に乗っていればそれだけで良いという彼は、ある意味大物である。

 下田までの帰り道は案外楽だった用に感じる。自転車に体がなじんで、今まで遅れ気味だった太田も順調にみんなについて走っている。ある一線を越えたら、急にしんどいと感じなくなるということは経験上よくあるが、今回もそんな感じだろう。下田についてからは打ち上げと大田の誕生日祝いを兼ねて祝杯を上げる。チロルチョコやキャンディー、空気入れなどのプレゼントが次々と渡される。太田は今回しんどそうだったから、自転車はもう嫌かと聞いてみると、またやってみたいとの返事。大変だったなりにしっかり楽しんでくれていたようで、なかなか嬉しい。あっという間に用意された飲み物とお菓子は無くなり、解散して帰路へと着いた。

(hiromitsu)
 

Waseda Wander Vogel

Waseda Wander Vogel

早稲田大学ワンダーフォーゲル部の公式HPです。

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