75代年間方針『成長』

 

槍ヶ岳 2003/10/12-13

登山・縦走

槍ヶ岳ワンダリング報告書

日時:2003年10月11-13日
メンバー:L 牛田光則 SL 田中(2年) 廣光 柳瀬(新人)

~主旨~

 槍ヶ岳に行こうと思ったきっかけは、ホントに些細なことだった。去る9月某日、僕は監督やコーチの方々と酒を飲みながら話をしていた。その中で何気なく放たれた一つの質問。「で、お前は今どこに行きたいの?」何気なく返した答え。「槍、ですかね~、、、」

 別に念願だったと言うわけではない。ただ凄い人気のわりにこれまで登ったこと無いな、くらいの印象しか持っていなかった。

 しかし待てよ。なんか毎年10月頃の『山と渓谷』には、唐沢カールや槍沢の紅葉の写真が見開きで載ってたよーな。自分は今、一眼レフに手を伸ばそうとしていたよーな。…こりゃ行くっきゃないっしょ!晩秋の槍ヶ岳!! これに惹かれぬやつァ漢じゃねぇ!
 


 
10月11日(土)

 23:00新宿発のバス(アルピコグループ「さわやか信州号」)に乗るため22:00新宿駅西口集合。しかし新人の廣光と柳瀬が遅刻する。迷ったとか何とか言う前に、迷うことを考えて数十分前に家を出なさい!秋合宿も目前で不安が募る。

 地下道を通って都庁下の発車ターミナルへ移動する。受付を済ましみんなでコンビニへ行き車中食を買う。ターミナルは思ったほど混んでないが、それでも上高地行きのバスは2,3台あるらしい。ザックを背負った学生団体や中高年が多い。で肝心の座席の広さは……ま、まぁこんなもんか。決して狭くて窮屈だなんて、以前乗ったJRの長距離バスは超快適だったなんて、これっぽちも思いませんでしたよ、アルピコグループさん。

10月12日(日)

 バスは予定どおり朝6:00ちょうどに上高地着。それにしても寝られたんだか、寝られなかったんだか。ま、連続で3時間以上寝られなかったのは確かだな。おまけに上高地は雨模様。しかし僕らにはそんな過ぎたことを言っている時間はない。今日中に山頂直下のキャンプ場まで行かなくてはならないのだ。インフォメーションセンターで水を汲み、出発の準備を整えて6:40いざ出発!

上高地から横尾まではずっと平坦な遊歩道みたいな道だ。監コー会で倉本さんが言われたように、エアリアマップも中高年に合わせているのか、コースタイム3時間のところを休憩含めて2時間20分で行ってしまう。しかし速いのは良いが、さっきから眠たいのか足元ふらつく柳瀬が非常に心配である。そのためここで30分の大休止。寝不足の人はうたた寝して目を覚ましてもらうことにした。その間、僕はというと親父に借りた一眼レフをぶら下げて梓川の川原に繰り出す。薄日が差し、対岸の紅葉と靄がなんとも美しい。

30分の休憩の後、横尾山荘からさらに北へ。やはり槍沢よりは唐沢カールのほうがメジャーらしく、横尾山荘に溢れていた人々の多くは横尾谷のルートに進むらしい。横尾までの一本で、6,70㍑のザックを背負ってデジカメを撮りながら歩くキレイな単独行のお姉さんがいて、ひそかに話す機会を窺っていたワンゲル部員(僕だけ?)であったが、残念ながら彼女も横尾谷に行ってしまったらしい。その彼女の美しさたるや、あの田中もマークしていたと言うから推して知るべしである。

話が逸れた。その後も順調に進み、三本で大曲まで行く。槍ヶ岳を開山した播隆上人が渡るのに苦労したという一ノ股谷、二ノ股谷には立派な橋が掛かっていた。またババ平の槍沢キャンプ場はきれいに整地してあり2,30張りは張れそうだ。水も槍沢ロッジの人は煮沸してくれとのことだったが、みんな直接飲んでいる。何より景色が素晴らしい。

ここまでは黄葉を楽しみながらの山登りであった。本番はここから。大曲を過ぎてから、特に天狗原への分岐を分けると急なジグザグ道が延々と続く。やはり夜行バスの疲れが抜け切っていないためか、皆いつもに増して辛そうである。時間的にはリミットも大丈夫そうだが、こんな状態が最も高山病になりやすいことも考慮し、今日の幕場は殺生ヒュッテとする。

 14:55殺生ヒュッテ着。強い雨が降っているため、とにかくまずテントを立てる。受付も個装整理もあとまわし。やはり山ではテント内が一番落ち着く場所だ。その後小屋で受付を済まして四時から天気図をつける。今日一日の疲労度が激しく、天気図は全員眠気との闘いであった。しかしどうやら明日は本格的に低気圧が突っ込んで来るらしい。SL田中と相談し、明日は4時半に起き、外の様子をみて、ピストンするなら新人も起こし、行かないなら6時起床にして下山することにした。晩飯のカレーを作り(柳瀬くん、あれは絶対辛かったよ)ティーパーティーでそのことを告げたら、皆8時の就寝を待たずにシュラフに入った。僕がエレキを消したその瞬間、テント内にいびきが響いた。

10月13日(月)

 僕と田中は4時半起床。外に出ると濃いガスで視界は10mもない上に、稜線上からは風の音がビュービュー聞こえてくる。この分だと槍の穂はかなり危険であり、登れたところで楽しくも何ともないだろうという意見で一致。楽しみにしていた新人には申し訳ないが撤退しよう。そういうわけで再び6時起床なわけだが、昨夜7時に寝たからもう全然眠たくない。時折テントを叩く激しい雨音とフライをはがそうとする強風の音に耳を傾ける。

 6:00全員起床。4時半の判断を新人に告げるが、二人ともそれ程悔しそうでもない。まぁこの風雨の音を聞けばそれもそうか。早速食当開始だが、テントが古くて雨水が染み込んだのか、ヘッドが夜のうちに濡れてしまい火力が出せない。せっかくメニューがお茶漬けだったのにも関わらず、結局出発は7:50となってしまった。

 強い雨の中を今日はひたすら下る。すれ違う登山者との挨拶以外、皆無口である。それでもペースは悪くなく、昨日六本で登った道を四本で横尾山荘まで来てしまった。昨日よりやや人は少ない。ここから上高地まで昨日と同じペースで行けば3時間だが、長い下りの疲れか、僕の膝が痛みだしたため田中にペースを落としてもらう。横尾着が11:25だから帰りのバス(行きと同じ「さわやか信州号」)の集合時間には余裕で間に合う。徳沢、明神で一本ずつ取り、のんびり進む。ここまで来るとほとんど下山した安心感からか、柳瀬の奇行癖の話しに笑いながら歩いた。

 連休最終日の上高地、特に河童橋を過ぎると観光客がもの凄い。橋には阪神優勝の夜の道頓堀がごとく人が溢れている。なるほどOBの方々が「上高地に下山はするな」と言われるはずである。どんなに縮こまっても、デカい荷物を背負う我々ワンゲル部員は浮いてしまうであろう。人ごみの流れにのってバスターミナルに到着したのは14:10。隅のほうで濡れた服を着替え、四人で飯を食い、バス乗車までそれぞれ土産物を物色した。

 15:30乗車受付で16:00バス発車。同じ「さわやか信州号」でも帰りは座席にテーブルと足置きが追加され、さらにバスガイドさんまでついていた。この差はいったい?まぁ良い分にはイイや、田中はビール買っとけば良かったなんてぼやいてるけど。後は新宿まで一直線……かと思いきや、連休最終日の高速道路は渋滞してるし。結局22時過ぎに新宿駅に到着して、そこで解散。各々家路についた。

~参考~

<交通費>

新宿~上高地間 アルピコグループ「さわやか信州号」  ¥7,000(片道)

<幕営料>

槍岳山荘、殺生ヒュッテ、槍沢キャンプ場  いずれも一人一泊 ¥500

<水場>

横尾山荘までは無料で飲料水を汲める。
槍沢キャンプ場の水場はしっかりと出ていたが、煮沸するよう言われた。
殺生ヒュッテ以上では1㍑あたり¥250で天水を売っている。
 

Waseda Wander Vogel

Waseda Wander Vogel

早稲田大学ワンダーフォーゲル部の公式HPです。

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