尻別川・羊蹄山 2004/8/23-25

登山・縦走

尻別川・羊蹄山ワンダリング報告書

日時:2004年8月23-25日
メンバー:L春田(2年) SL柳瀬(2年) 浅井(新人) 栗原(新人)

地形図:倶知安、羊蹄山(25000:1)
主旨:まだまだ北海道の自然を味わい尽くす。 / 次代に向かってパドリング!!【第一弾】

 北海道の自然の中を”縦走”とラフトボートを使っての”川下り”で楽しむ『北海道タンクトップ隊』は、三週間の合宿をこなした。この記録は、その合宿の直後にその隊の中から選びぬかれた四人のメンバーが懲りずに山に登り、酒を飲み、川を下る。そんな夏の思い出の一ページです。山行記録というよりは、ただの旅行記で、余り参考にはならないことが多いです。ご了承下さい。

8/23
札幌09:00=(バス)=10:46喜茂別17:05-17:40京極温泉(キャンプ場)
8/24
京極温泉08:00-登山口08:50-10:25五合目10:42-11:55八合目12:11-13:00 山頂13:50-15:20五合目15:35-16:45登山口-17:20京極温泉
8/25
京極温泉09:45=(タクシー)=09:55中野橋11:30-14:00富士見橋
 


 
<8月22日>
55代夏合宿は、集結というイベントを終えて幕を閉じた。僕の頭にはもうその後半の記憶はほとんどないが、その時間を好きなだけ楽しんでいた、気がする...朝を迎えてようやく意識を取り戻したのはトイレの中だった。そこから物語は始まる。毎度のことながら早朝のお茶漬けはつらい。一口で断念し、それは同期のFくんの丸食へ、胃へと流れていった。その後もできる限り休み続けるが、あまり回復できず。「温泉でモウ一泊!!」と願うわけにもいかず、10時過ぎのバス・電車を乗り継いで、大都市”札幌”へと向かう。

 ワンダリングメンバーに、辻主将を加えた五人で、僕の祖母の家へ行く。JR札幌駅から地下鉄と徒歩をあわせて15分ほど。4・5年ぶりに来たのだが、周りの風景がかなり変わっていてびっくりした。迎えに来てくれたいとこもだいぶ成長していた。ここでも二日酔いを引っ張り、出されたご飯を満足に消化できずに終わった。風呂に入らせてもらって、そのまま寝る。(もう一人のいとこの帰りを待っていたので、自分だけ遅くまで起きていたのだが、皆のイビキやら寝言やらはすごいものがあった。特にTさんとYくん。)

<8月23日>
7時起床。朝飯はまぁまぁ食べられた。三日酔いではない。8時過ぎには、祖母に礼を言って家を出る。札幌駅で辻主将と別れ、バスターミナルへ。9時の道南バスで、本ワンダリングのフィールド・喜茂別へと向かう。予約制のバスだが、少々の空席あり。登別温泉が終点であり、皆温泉目当ての観光客のようだ。登山目的の人間など一人もいない。途中休憩をとったところで、バスを降りてみる。目の前に富士山と同様の巨大なシルエットが存在していた。デカイ!!羊蹄山である。とてもきれいであり、皆期待に胸をふくらませる。

 10時46分、喜茂別のバス停に到着。あわただしく荷物を降ろし、「忘れもんないよなぁ」とか言いながらバスを見送る。バス停までつく少し前にヤマトの営業所を窓から確認。まずは全員で荷物を受け取りに行くことにする。そして歩き始めようかというときに、浅井が不穏な動きを見せる。「あれ?」「ん、どうかしたか?」と聞くと...

「山靴がないかもしれません・・・」「えっ?」。

バス会社に電話をかけるが、見つからない。ん!?なんだかよくわからないが、とりあえず早く川の準備を始めたい。最悪スニーカーを買いなおすことにして、ヤマトへと向かう。

 荷物を受け取ろうと名乗ると、大きなダンボールを一つだけ渡される。ん?これだけ?ラフトは?パドルは?こっちが目を丸くしていると、むこうも目を丸くしている。どうも届いてないようである。そこからラフト探しが始まるわけだが、決着がつくまで、実に3時間以上かかる。途中から今日の行程はあきらめて、カットすることだけは決める。そしてしっかりと一から順番に荷物の移動を追っていった。夏合宿2Rが終了して我々は、十勝川河口から、東京(部室)と喜茂別(ここ)の二箇所に分けて荷物を送った。しかし、手違いですべて東京に送られてしまっているようだ。ヤマトの人も一生懸命世話してくれてなんとか明後日までに送り返してもらうことが決まる。その際部室には誰もいなかったため、競技スポーツセンターの方にまで手伝っていただいた。皆様に感謝である。

 ラフト探しと浅井の靴探しは同時進行で行う。こちらはやはりバスに置き去りにされていたようだ。要反省!(←合宿なら極刑である。)今日の行程のカットを決断した後だったため、折り返しバスが戻ってくるのを待つことにした。コンビニで時間を潰し、17時にようやく靴を回収。そのまま下る予定だった川を指をくわえてちらちらと眺めながら、バスで幕場まで移動する。途中ポーテージしなきゃいけない堰堤も見えた。結局それだけで一日が終わってしまう。集結の余り食材をふんだんに使ってカレーを作り、適当に飲む。メンバーは、いろいろあったせいか疲れているようでLが天気図を書き終わるころには全員寝ていた。余った隙間に横になって、自分も22時半には就寝する。

<8月24日>
6時起床。少々遅いが、睡眠時間を優先してこの時間に起床。昨晩作りすぎたカレーを再び温めて食べる。近くのコンビニで昼食・レーションを揃え、8時に出発。近道をしようとして遠回りをしながらも、50分後に登山口着。きりが悪いので、10分休憩し、9時ジャストに出発する。いざ羊蹄山へ!羊蹄山は、本当は後方羊蹄山と書いて、「しりべし山」と読む山だ。標高は半分だが周りに何もないので、本当に富士山のようである。全部で4箇所の登山道があり、いろんな方向から登れる。我々が行く京極コースはアクセスの悪さからあまりメジャーではないようだ。ちなみに、今月(2004年9月)の『ヤマケイ』には違う登山道の秋の記録が載っていた。

 オーダーは、柳・浅・栗・春の順。天気は晴れ。ポイントは夏合宿中もずっと痛そうにしていた浅井の膝である。荷物は軽いのだが、登山口は400m足らずしかなく、1400mの登りになる。実はかなりハードである。気持ちを入れなおして臨まねばならない。

 今までの北海道の山と違い、本州の山と似たような雰囲気の林から始まる。木に囲まれていてあまり気持ちよくない。工事用道路の分岐を一つ越え、早くも一合目の看板発見。『頂上を目指そう!』などと、赤文字で書かれている。もう一つ分岐を超えてサクサクと進んでいく。二合目、三合目を過ぎるあたりから浅井の足取りは重くなる。確かに苦しくなってきている。ちょうど10時を回るころに四合目を通過。先のことを考えると、だらだらしてはいられないので、先へと進む。ちょうど浅井のマップケースがぶっ壊れてしまい、何やら大変そうではあったが、普通に無視してとにかく前へ進む。

 10時25分、ようやく五合目である。少し長めに休んでエネルギーを蓄える。「エアリアタイムではこれから二時間半以上歩くんだよんっ♪」と明るく伝えてみると、皆凹んでいた。先はまだまだなのだ。もう忘れてしまったが、ここ五合目には「努力」とか、「前進」というような類の赤文字が書かれていた気がする。辛いところなのである。(ちなみにすべての箇所に「○合目」とともに赤文字がかかれてあったが、ほとんど記憶にない。)浅井のマップケースの修理も終わったところで、出発。しかし、浅井は本当に辛そうだ。彼は合宿中から絶えずよくしゃべっていたのだが、この時間が一番しゃべらなかったのでは?というくらい無口である。もう一人の新人栗原のほうには余裕があるようだ。根性で、六・七合目を通過して、八合目で一本。11時55分。微妙な沢地形なんかを見てだいたいの位置を予想はしてみるが、はっきり八合目と書かれてしまっているので、ついつい計算してしまう。良くない癖だ。ここまで来ればもうあと一息である。再び長めに休憩をとって、最後の登りへと向かう。

 視界をさえぎっていた木々がなくなり、岩がゴロゴロしている崩れやすい道を行く。変化があるのは良いが、登っている途中に、時折開いた景色の先に広がっていた京極市街地が全く見えなくなってしまった。ビバ高層雲!今合宿はかなりお世話になっている。やがて九合目を過ぎ、すぐに上まであがる。ちなみにここには、「もう一息だ!」の赤文字が。(もう少しひねれないものか...)あとは、火口を横目にぐるっとまわるように最高標高点を目指す。その数メートル手前には、一等三角点が埋まっていたが、無視して通過する。(通過のときに、ふと「一辺の長さは18cm」という言葉が頭をよぎったのは、他のメンバーにもいるだろう。合宿中トムラウシの山頂で、大分のおじさんが講義をしてくれたのだ。)13時ジャストに山頂に到着し、昼飯にする。外側は相変わらず曇っていたが、火口がすごくきれいで、皆内側を眺めながら食べる。ボーダフォンでもしっかり電波が入るので、ゆっくり飯を食う浅井の写真を御手洗に写メールしてみた。北海道にちょこっと高気圧が張り出している以外は、低気圧の影響なんかを受けて天気はよろしくないようだ。なんとなく嬉しい。時々外側が晴れて市外地が見渡せた。風も強くなく、気分は最高である。

 50分までゆっくりし、適当に写真を撮って下山を開始。同じ道を引き返すだけなので、浅井の膝を気遣いながらも2本で下る。15時20分にまず一本。一気に五合目まで下りる。浅井は下りに入るといつものペースでマシンガントークをかましていた。今回のワンダリングは新人を楽しませるために企画したものだが、(今回に関わらず、いつもそうなんだけど)浅井がおもしろすぎるので、二年二人がとても楽しんでしまった。別に悪いことではないからいいのだが。途中気になったのは、「登りは錬成よりもきつかった」の一言だった。後発隊だった栗原には信じられないことだが、先発隊の錬成だって天気は良かったけど決して楽ではなかったハズ。本人曰く歌を歌わなかったが理由であるが、そんなにきついとは...。

 一気に登山口まで下りて、買出しと温泉へ。合宿から数えて、長い長い旅の最終夜ということで、肉をたらふく食べる。やせこけたキツネがとなりのテントの周りをうろうろしているので、何度か戦いを挑んだ。もちろん逃げられたけど。宴会も終盤に差し掛かった22時ごろようやくヤマトから連絡があり、キャンプ場までラフト・パドルを運んでもらう。部室から送り返す値段などは全て負担してくれた(当たり前だけど)うえに、すごくでかいスイカとメロンを頂いた。うれしい限りである。柳瀬と栗原は気づいたら寝ていたが、お酒で気持ちよくなったおかげで、自分は浅井に1時まで一方的に語っていた。

<8月25日>
6時起床の予定だが、眠い。6時半にもぞもぞ起き始め、最終的には7時に起床する。柳瀬は他の三人がもぞもぞしている間に食当を開始していた。朝に強い頼もしい男だ。昨晩頂いたメロンをデザートに食べる。各自パッキングなどを始めて、撤収。9時半にはタクシー(京極ハイヤーのジャンボ)を呼び出す。ほんの2キロくらいの距離だが、荷物の量を考えるとタクシーが良い。各自の要らない装備(登山靴など)は送ってしまう予定だったが、そんなに送るものもなくたいして変わらないだろうと、強行することにした。下り始めの地点には、20台程度の駐車スペースがあると聞いていて、そこを目指してもらう。到着した一同は皆目を丸くする。駐車場のほぼ全体を黄色いラフトが埋め尽くしていた。最初は、コマーシャルの人間も2組しかいなかったが、準備をしているとうじゃうじゃ人が集まってきた。もう長瀞なんかは比較にならない。大型バスからどんどん人が現れる。ガイドさんは女の人から外国人まで様々である。いきなり現れてあっという間に去っていったが、本当にすごい数だった。我々も準備をし、荷物を積む。少々荷物が多い気はするが、もうしょうがない。頑張るしかない。体操を済ませ、11時半ごろ(?)には、下り始める。

 流れのゆるい最初の地点でフォワード・リバースの練習をする。軽く確認した程度で出発。目の前では、既に直線の岩絡みの瀬が構えている。久しぶりの操船とやっぱりちょっと重たい荷物のせいか少しコース取りをミスると岩にちょこちょこ引っかかる。油断ならない。この瀬の最後にパチンコの瀬と呼ばれる落ち込みが待っている。直線が結構長く続いているので、まだだろうとよく見ずに進んでいた。するとそれは、いきなり現れた。びっくりはしたが、流れは素直でほぼ真ん中に突っ込めて皆で歓声を上げながら、久しぶりの瀬を楽しんだ。なかなか気持ちよい落ち込みだ。よく右岸を見るとコマーシャルの連中を写真にとるおじさんもいた。何故気づかなかったのか。しかし、実際に船を寄せて下見するのは難しいので、コマーシャルラフトを一艇見送ってみるのが最良だったろう。

 パチンコの瀬を過ぎるとしばらくは気を抜ける。時々見える羊蹄山を見ながら、川を下る。本当は、1日目にもこれができたのだが。まぁこの日下れただけでも喜ばなきゃいけないということか。そんなこんなでコース内唯一の橋である寒別橋にさしかかる。計画書とあわせて皆に配った資料にはこう書いてあった。「ラフティングでは落としっこのポイント」と。ラフトに乗っているからには果たすべき使命がある。周りには誰もいないし、新人は前で二人だけのおしゃべりに熱中し気を抜いている。甘い!予習が足りない。ならばと、柳瀬に合図を送り、「せーの」で新人に襲い掛かる。ドボン!勢いよく落ちていった。

 再び全員乗り合わせ、先へと進む。チェックしていたクーホールという瀬に対して構えているが、岩を避けて進んでいるといつの間にか通過してしまう。あらら。この先の瀬も微妙なのか?と不安でいるが、大きな音が聞こえてくる。左岸につけられそうではあったが、正面から流れは見えているし、上陸しづらい感じもあったので、そのまま強行する。長い瀬で最初に落ち込みが連発するところはかなり迫力あり。少々ぶつかりはしたものの結構流れにのれて楽しめた。荷を降ろし、もう一度チャレンジしたい気はしたが、カヤックで遊んでいる人もいたし、労力を考えると結局できなかった。

 流れはほとんど穏やかになったので、のんびりと行く。右岸にコマーシャルのゴールらしきポイントがあり、お兄さんがいた。あまりに荷物がでかいから、「海まで行くの?」と聞かれてしまった...お兄さんを見送ると正面に橋が見える。コース内には橋は一つしかないはずである。従ってゴールか?という感じだが、それにしては早すぎる。考えても仕方がないので、右岸に上陸して休憩がてら見に行ってみた。結局橋はまだ工事中であり、新しくできたものであった。

 安心して再乗艇し、本当のゴールを目指す。天気も良くポカポカしていて気持ちが良い。この夏最後のラフティングを楽しむように声を出してタイミングを合わせて漕ぎぬいた。新人も夏を通してパドルワークが上達しているようである。あっという間に2時間以上が経過していた。橋より少し手前に細い分かれ道があった。かなり迷ったが、思い切って突っ込んでいくと、右岸側が階段になっている上陸ポイントに出会えた。尻別側リバーパーク(?)という公園まで、道がしっかりとつながっていて、そこには駐車場もあった。

   トラブル続きのワンダリングであったが、14時に無事活動を終える。長い夏が終わった。ヤマトからもらったスイカを川原で食べて一休みする。のんびりしたあとは、再びジャンボを呼んで、倶知安駅付近のセブンへ移動。荷物を部室へ送り、それぞれの帰路へと向かっていった。 夏合宿後だというのに、金も時間もかかるワンダリングに来てくれた三人は本当にありがとう。ボートツーリングの合間に、「そこに山があるから登っちゃおう」っていうことにはならなかったけど、登山もボートもそれなりに楽しめたのじゃないかと思う。そこにある自然を何でも楽しめるし、そこでいろんな人との出会い(ヤマトのおじさんのこと)がある。そんなワンゲルらしさがいっぱい詰まったワンダリングが出来てLとして、いい経験になりました。お疲れ様でした。
 


 
~補足~
・札幌→喜茂別 (道南バスor定鉄バス) 一時間に一本程度 1890円
(喜茂別のバス停から、進行方向と逆方向にヤマト運輸喜茂別宅急便センターがある。)
(川下りスタートポイントまではかなり遠かった。予定では、ヤマトからタクシーで移動するつもりであった。)
・喜茂別→京極農協前(道南バス) 400円くらい?
(路線バス。京極農協前のバス停の近くにスーパー・コンビニ(セブン)あり。)
・京極スリーユーキャンプ場 一張一泊500円
(真横に、天然温泉あり。500円。噴出し公園という名水の出る公園も近くにある。)
・羊蹄山の京極登山道はほぼ全域で携帯の電波が入る。(ボーダフォンで。)
・京極ハイヤー(0136-42-2269) ジャンボタクシーあり。呼んで5分後に来る。
・美空ハイヤー(0136-22-1171) ジャンボタクシーあり。来るのに時間がかかった。

 マイカーがないと一つ一つの移動にいちいちタクシーを必要とするので、金がかかる。初日に下る予定だったコースは、見た感じ水は少なそうでおもしろそうではなかった。三日目に下ったコースを荷物なしで行き、コマーシャルラフトを一艇うまく見送ってコースを見極めてから、漕いでいくのが一番良い方法だろう。一度もまともに瀬を下見できなかったのは、少々よくなかった。次回に反省を活かしたい。

(春田)
 

Waseda Wander Vogel

Waseda Wander Vogel

早稲田大学ワンダーフォーゲル部の公式HPです。

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