メンバー・・・ L F永 SL S木
1月26日
現地集合として、私は新幹線で越後湯沢駅へ向かう。事前にアプリで調べた時間よりも遅いのが気になったが、急いで乗り換えようとする。人ごみの中に見慣れたヤッケとザックを発見した。同期のS木と合流する。
信越線に乗り換えようとするが、出発予定時刻になっても何故か電車が来ない。アナウンスでは雪の影響で部分停止があるとか、特急列車が運休になっているとか様々な情報が流れているものの、私達の乗る予定の電車に関する情報は一向に流れない。駅員に聞いてみると、電車の本数を減らしているので、越後湯沢出発が9時過ぎになるとのこと。集合は土合駅に9時。即ち、絶対に間に合わないっ!!
大急ぎで講師の方に電話をする。学生の身分で新幹線に乗って越後湯沢まで行っていたことに驚かれた。鈍行で高崎経由で来るものだと思われていたらしい。
9時ごろにやっと来た電車に乗って土合駅に向かう。モグラ駅を期待していたのだが、こちらのホームは地上にあるため、462段の階段を楽しむことが出来なかった。
急いで準備をして、講師の方の車でロープーウェイ乗り場へ向かう。S木は沢活動で来たことがあると懐かしんでいた。どうもロープーウェイ乗り場で他の受講者の方々を待たせてしまっていたようだ。大変申し訳ない気分になる。
リフトに乗って天神平スキー場の上部へ。スキー場の上部はかなり吹雪いていた。先ずは全体でビーコンチェックを行う。
【ビーコンチェックの方法】
①Lが送信モードに切り替え、L以外が受信モードに切り替える。メンバーが受信をできるか、Lのビーコンがきちんと発信できているかを確認する。
②Lが受信モードに切り替え、L以外は送信モードに切り替える。普段どおりのビーコンチェックを行い、メンバーのビーコンが発信できているか、Lのビーコンが受信できているかを確認する。
上記の方法を行うことで、L、メンバー、双方のビーコンの送信・受信を確認できる。
軽く滑ってスキー場外部に突入。グループに分かれて先ずは弱層テストを行う。
【弱層テスト】
①弱層テストを行う場所について
・今から登るor滑る斜面、ある程度の斜度がある部分で行う。
・上部に木がない部分で行う。上から雪が落ちてきて、層が崩れてしまう場合がある。
・プローブを刺して、十分な積雪量があること、雪の下に木の根等が無いことを確認する。
②弱層テストを行う方法
・横幅はスコップ2個半程、深さは70cm~1m程度。
・バーブテスト→スコップコンプレッションテストの順で行う。
・バーブテストは新雪の中の弱層の有無を確認するものなので、回数はカウントしない。
・スコップコンプレッションテストで叩くときは、押し付けるのではなく、タップするように叩く。(CTEとCTM)
③判断方法
弱層テストで叩いた回数及び層のずれ方によって判断を行う。崩れ方は主に3種類ある。
ⅰ)スパッと切れて前にずれる。若しくは、潰れる(層の横から雪が飛び出る)。:Sudden
ⅱ)平面での破断は起こるが、前にずれてこない。若しくは、層が圧縮されていく。:Resistant
ⅲ)凸凹した面での破断が起こる。:Break
ⅰ)の場合
面発生雪崩の発生確率が高い。
ⅱ)の場合
急斜面などでは雪崩に注意が必要。
ⅲ)の場合
面発生雪崩の発生確率はそこまで高くない。地形や斜度によっては点発生雪崩に注意が必要。
部では弱層テストの「時間短縮」に重きを置いているため、Lの頭の中のみでこのような判断が行われているように感じる。
その後、雪庇の断面を確認する。層が巻き込むような形になっていた。
もう一度、弱層テストを行い、ルーペを用いての雪粒の観察を行った。新雪の綺麗な雪粒(雪印社のマークのような美しい雪の結晶)も見られた。実際の雪粒の写真を見て、同じ雪粒があるということを確認出来た。
ルーペで雪質を確認するのは面白かったものの、時間短縮を目指している我が部の方針と照らし合わせた場合、部でこのようなことを行うことは難しいと考えられる。
講習終了後、ゲレンデを滑る予定であったが、(受講者の経験を加味して)講師の方の機転により、尾根を滑降することになった。荷物も軽く、快適な滑降を行う。
土合山の家に戻ってからは風呂と食事を済ませて机上講習。雪上講習で行った内容の復習を主に行う。
【雪崩の発生を招く気象条件】
① 24時間以内の積雪量が30cmを超えた。
② 風速7m以上の強い風が吹いた。
③ 気温が急激に低下した。
④ 南西からの暖気、気温の急激な上昇
⑤ 強い雨が降った。
【アメダスのデータ利用法】
気象庁の発表しているアメダスの各地のデータには、気温以外にも降水量・積雪量などのデータも存在する。それらのデータを使うことで事前に雪の状態を予測することが出来る。
また、同じ冬型の気圧配置でも風向によって雲のかかり方が変わり、山の積雪量に大きな違いが出てくる。北西方向から雲がかかる場合と西側から雲がかかる場合の2種類が主に考えられる。こちらも気象庁HPから閲覧可能。
机上講習後は懇親会を行い、講習会2日前に成人を迎えたS木は講師の方の持って来られた日本酒に舌鼓を打っていた。
この日は1時就寝。
1月27日
7時起床。食事をとって準備をして土合山の家のすぐ近くの広いエリアに出る。
講師陣と受講者2名(山スキークラス②の2人)によるビーコン捜索が行われた。実際の動きを見せるデモンストレーションであったが、講師の方が実際に埋まっていた。
その後、捜索犬による捜索も実演された。臭いが分散していたせいか、最初は手間取っていたが、少し掘ってみるとすぐに見つけた。
グループごとに分かれての講習を行う。ビーコンを埋めてもらう間に私達は弱層テストの復習を行い、判断の考察も行う。
自分達のたどったトレースを見てみると、ビーコンの電波特性のラインに沿っていて驚いた。図面では見たことがあったが、実際に体感することが出来た。
尚、ビーコン捜索時に表示される数字は、絶対的な数字ではなく、相対的な数字である為、ビーコンの種類によって数字がかなり違う。同じ種類でも機種によって数字が異なることがあるという。
ビーコン捜索練習を行った後、雪崩総合シミュレーションを行う。自分達のパーティーのトップが流されたという設定でLはS木。一人先行型の捜索を行う。先行はF永が行った。比較的スムーズに出来た。
最後に登山クラスの方2名を交えてのシミュレーションを行った。他の受講者15名近くは皆観客になっていた為、練習と言うよりはパフォーマンスに近かったという印象を受ける。別パーティーのメンバーが流されたという設定でLはF永。指示出しや無線交信・残されたパーティーメンバーへの対応は行っていたが、時間などの記録が出来ていなかった。設定では7歳の女の子が埋まっているという話で、実際に埋まっていたのは訓練用の人形だった。
埋没した講師の方の捜索としてスカッフ・アンド・コールという方法を実践してみた。埋没している側の人への声は届くが、雪の下からの声は殆ど聞こえないというものを実践してみたのだが、私達の声もあまり聞こえていなかったようだ。頑張って叫んでいたのだが・・・。
記念撮影を経て講習会は終了。雪崩総合シミュレーションの時のS木とF永が輝いていたと他の受講生の方に褒められた。それはそれで嬉しかったのだが、他の山岳会の人と山に行くのは意識の違い故に結構難しいと思った。
講師の方に荻窪駅まで送っていただき、解散。それぞれの帰路に付くことになった。
余談ではあるが、講師の方の話を聞いて、バックカントリーには未知のフィールドが沢山あること、そして楽しみ方がまだまだ沢山あることを知った。
講師の方達や受講生の中にはバックカントリーや冬山登山以外にもアウトドア活動を行っている人が多く、良い刺激を貰った。特にスキーはもっと上手くなりたいと心底思った。
実際、講師の方のアドバイスを基にゲレンデで滑ってみたら、アイスバーンも比較的安定していた。
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