04’両神山新人ワンダリング報告書
日時:2004年11月13~14日
メンバー:L米山 栗原 浅井 安倍 太田 鳴海 御手洗
地形図:長又、両神山(25000:1)
僕には六人の仲間がいる。キヨ、安倍ちゃん、カズ、栗、鳴海に御手洗である。かつて食当や読図もままならなかった僕を含めた七人はついに自分達でワンダリングを出せるようになってしまった。
ある日、安倍ちゃんとカズが部活を辞めると言い出した。皆一瞬うろたえて気絶しそうになったが、なんとか堪えた。こういう時はまず冷静に相手の言い分を聞かなければならない。二人とも何故やめたいのかを説明してくれたが残った五人としては、まったく「うぅぅぅむ」な状態である。
同期が辞めそうになったら、残るものはどうしたらいいのか?心はどこに置けばいいのか?やはり、山しかないと僕らは思った。
そんなわけで2004年11月14日、新人ワンダリング隊は両神山へ山行することになったのである。新人が山をめざしているうちは、部活内は平和なのである。
<11月13日(土)>
六人の新人ワンゲル隊が部室に集合していた。栗と僕が車を運転して行くので皆不安の色を隠しきれていなかったが“なんだかんだ叫んだって”目的地 日向大谷に無事到着した。
紅葉も終わりにさしかかる中、さっそくテントを設営し、宴に突入した。長時間の移動で皆疲れていると思いきや、酒がはいると途端に本性を表し、中でもキヨ、栗、鳴海は暴走していた。話題はもっぱらキヨの『早稲田祭女の子と行っちゃった事件』であった。こんなことで盛り上がれるのは全国どこを探しても早大ワンゲルぐらいだろう。(T^T)ウック!なんでも栗がキヨと女の子のツーショットをキャンパス内で目撃したらしい。それについてツッコミをいれる栗と巧みに話題をすり替えかわそうとしているキヨ。一晩中やりとりが続いたが何故か最後は“ワインなんてジュースだよ”という鳴海のトンチンカンな格言で場は締められた。
<11月14日(日)>
待ちに待った日がついにやってきた。僕らが登る「両神山」は信仰と伝説の多いことで知られ、埼玉県の西部、奥秩父に位置し、「日本百名山」にも選ばれている名山である。両神山の名はイザナギ、イザナミの尊を祀った事に由来するとされ、登山道には神社や石仏を沢山見ることが出来る。また、山頂に行くルートが数多くあることでも有名である。今回はその内の日向大谷〜会所〜両神山山頂ルートを登る計画である。
今までの感覚からすると不思議に思えるのは、上級生がいないことだ。朝集合しても皆静まり返っている。お陰で、今日は自分がリーダーなのだと実感できた。時折、すれ違う人達に笑われながら歌い続けると「若いわね〜」とか「羨ましいわ〜 オホホホホ」とか叔母ちゃん特有の言語を発してくるので「お姉さんも若いよ♥」などお決まりの文句を言いながらやり過ごした。
速度は時速3〜4キロくらいの一般的な山歩きのペースだった。普段下界では4〜5キロが一般人の歩く速度であるからやはり少し遅い。
途中何度か読図をする為に立ち止まった。「これは二回目の川渡りだよ」と一人が言うと「いやいや 二回目にしては距離が長すぎるから三回目だよ」など試行錯誤しながら新人らしい読図が出来ていた。
登り始めてから2時間ほどで清滝小屋に到着した。清滝小屋はログハウス風の洒落た作りで、ここから望む朝日は最高らしい。予約すればお泊まりも出来て、テントも10張りはれる。
ここで問題が発生した!小屋に荷物を置いていく派と置いていかない派に分かれたのである。置いていく派の主張は軽くなって楽になるし、ピストンなんだから戻ってこれるじゃんの二点。もう一方はこれから先に腐り場!?もとい鎖場があるから細引きやカラビナは持っていった方がいいし、軽いんだから別にいいじゃんの二点の主張。二対二の同点である。そこで一人が三人は持っていき、あとは置いていこうと発言した。両方の主張を取り入れた素晴らしい意見。誰が言ったんだ? もちろんリーダーの自分だ。と内心調子に乗っていると、皆に笑みはなかった。
「あれっ?どうしたんだよ? 素晴らしい意見じゃないか!」 「し〜ん・・・・・」
「どうしたんだよ? みんな!」 「し〜ん」
マズイ!自分の意見によって隊がギクシャクし始めた。たった一人の意見がこんなにインパクトを与えるとは思いもしなかった。
「大したことないよ。たかが意見じゃないか。うまくまとめただけだよ!」
「し〜ん・・・・・・・・」
「あっ、また言っちゃった、ごめん ごめん!!」
そう言いながら僕は、特権階級になった気分を味わっていた。
50分ほどで両神神社に着いた。山深いこんな所に立派な神社が有るなんて、さすが神様の山と云われるだけの事が有る。犬神信仰の神社らしく、いたる所に山犬の石像が祀ってある。すぐそばに、奥秩父の山々や足元が切れ落ちた大岩壁を見る事が出来る「のぞき岩」と云う場所が有ったのに、現在通行止めになっていて非常に残念だ。
古いおみくじがあり、御手洗が手に取って開封していた。栗が「それ糞じゃねぇ」と言ったら、「キャ〜」という奇声を発していたが顔は非常に嬉しそうだった。 一体なんだかな(~_~;)
いよいよ山頂に近づいてきた。
紺碧の出番だ
栗原〜この空の色は何色だぁ〜!!
紺碧で~す!
と、いつもと同じ文句で始まり山頂まで歌い続けた。
そして山頂 空気は澄んでおり、錬成で行った南アルプスに秋合宿で行った八ヶ岳が見渡せ、今までのワンゲルの活動を思い起こしながら両神山を踏破することが出来た。
山頂ときたら式典だ。周りに人がいる中、すみませんといいながらまったく遠慮しない新人たち。最後に去り行く仲間にエールを送った。
下りは登りと同じ道だったので無事に下山できた。ただ気がかりなのは、
「キヨと鳴海がこけた。」
「栗原は笑っていた。」
「そして千里は速かった。」ことだけである。(どちらも平気でした)
下山連絡を済まし、温泉につかって体の疲れをとり、僕らは夜の新宿へ更けていった。それぞれの思いを胸に秘めながら・・・・・・。
最後にこのワンダリングに関わってくださった全ての方に感謝します。 ありがとうございました。
(米山)
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