早池峰ワンダリング報告書
日時:2003年3月21-23日
メンバー:L森田 哲生(48代)SL渡辺(46代)、伊藤林、大庭(2年)
地形図:早池峰 1/25000
長年の憧れであった早池峰に行きたいなあと思っていたところに現役の春合宿が八甲田で行われたため、帰り道の二人を捕まえて行ってみることにした。
3月21日(水)
八甲田下山の連絡を受け、林太郎と大庭には盛岡へ移動してステビするよう伝え、Lと渡辺さんは夜行バスで出発する。OB二人は、現役が予備日を使ってもうちょっと遊んでくると思っていたため、いまいち心の準備が完了しきらない。
この冬から東北新幹線八戸延伸に伴い八戸盛岡間が第三セクター化し、青春18きっぷが使えなくなったため、移動にお金がかかるようになってしまった。夜行バスは朝6時半に盛岡着で8000円弱。ちなみにJRバス共同運行のため学割が使える。大変便利だが値段的に18きっぷにかなわず、また旅情も何もあったものではないところが大いに寂しい。
22日
盛岡駅700=大迫BT805/900=岳940/1005-うすゆき山荘1320
朝無事に全員合流。現役二人は真っ黒に日焼けして元気そうである。ザイル関係以外の団体装備を二人に全部持ってもらっているので爆発的にザックがでかい。大迫でタクシーに乗り換えた際、兼用靴等いらないものを預かってもらったが、それでもでかい。何とかザック4つ、スキー4本、人間4人を積み込んで出発。こんなわがままに文句1ついわない中央タクシーはすてきである。車は40分飛ばしてまだ同じ町内である岳へ。 早池峰神社のある岳は、深田本では、頼めばどこの家でも泊めてくれるようであったのどかなところのようだ。現在は何軒もの民宿になっており、そのすべてがOO坊という名前になっている。日本の旅である。
今回スキーは長い林道歩きのアプローチ用なので、林太郎と大庭には山靴で板を履いてもらう。ワンゲルに数年ぶりの山靴スキー復活である。二人とも渡辺さんにフォームの矯正をされながら快調にうすゆき山荘へ。快晴無風、これ以上よい天気はないくらいである。小屋で撤収中の、今日ピストンしてきた人が言うには、特に危ないところはないが、気温が高くてアイゼンに雪がべっとりつくので、出発は早いほうがよいとのこと。今日のペースで明日もいければ午前中の早いうちに登りきれると判断して、ここで行動終了とする。設営してのんびりしていると3パーティーくらい下りて行った。
時間がたっぷりあるので、現役二人は初山靴滑降を試しに裏の斜面を登って行った。合宿後なのに元気で頼もしい限りである。大庭は何とか楽しく滑ってきたようだが、気合入れて結構上まで登った林太郎は慣れないエッジングに結構苦戦したようである。天気があまりにいいので年寄二人は外で半分寝ながらさっそくうだうだ飲み始める。春合宿の残りの予備食(今回は一袋5人分)を4人で食べきっておなかぱんぱんになり、動く気もなくのんびりとする。林太郎と大庭のけなし合いのような話を聞いていると、日々きちんと言いたいことは言い合えているんだなあと想像できる。ヒートアップ・ラウドアップしてきたので、小屋の人に迷惑にならないうちに就寝。
23日
うすゆき山荘520-河原坊600/610-早池峰山頂950/1015-河原坊1205/1220-うすゆき山荘1235/1320-岳1435=大迫=盛岡
3時45分起床、快晴無風である。最高のコンディションで登頂できそうな期待が高まりまくる。河原坊でスキーを脱いで、コメガモリ沢をほぼ夏道沿いに上がる。上部はえらく急そうである。トレースはたくさんあり特に困るところもない。大庭が徐々に練成モードに入りつつCo1450あたりで夏道が尾根に上がるところでアイゼンを装着する。すでにすっかり樹林外である。そこから傾斜が増すが、見た目ほどにやばいところはなく、ザイルを出すこともなく、順調に踏み跡をたどって山頂へ。途中夏道用の道標やルート境界ロープやらでルートは分かりやすい。最上部付近で降雪時や節煙でトレースがすぐに消えるようなときにはマーキングしといたほうがよさそうだ。山頂からは岩手山やら八幡平やら、裏岩手連邦、おそらく和賀なんかに混じって、富士山みたいなのがぴょこっと見えるのはひょっとしたら鳥海山なんだろうか。そんなに近かったかなあよく分からんなあなんて思っていたらあっという間に20分以上経っていた。風もなく雲もなく、もう春なんだなあと実感する。それでも樹林限界の上500メートルにある山頂は、標高が2000mに満たなくてもそれはそれはまっしろで、神社や小屋は氷でびっしりである。帰るのがもったいなくなるくらいだが、今日中に里まで下りたいので下山を開始する。
下りは早い。斜度がある上に雪がしっかりついているのでざくざく下れる。さらに河原坊からはスキーを履いたのであっという間である。撤収後、再びすべての荷物を背負って林道を滑っていくが、ここで林太郎と大庭が激しくハマり始める。現在でも山靴で滑っている渡辺さんに指導を受けるも、慣れない靴の柔らかさに転びまくり、ツボで歩くより明らかに時間がかかっている。10分くらい前に小屋から降りていった中年のご夫婦の後ろ姿さえ見ることがなかった。林道なので滑落や転落の心配がなく、安心して思う存分こけまくって何とか下山。岳には公衆電話がないため、民宿で電話を借りてタクシーを呼ぶ。山も天気も行動も小屋も里の人もみんなナイスで、大変満足な山行となった。
大迫のバスターミナルから歩いて10分ほどのところに入浴施設があるので、我々だけ下ろしてもらい、荷物はBT前のタクシー会社まで運んで頂ける。しかもジャンボだったのに行きの小型と同じ料金で運んでもらえた。中央タクシー万歳である。
積雪期の早池峰は、林道歩きが長いためアプローチ部はスキーが大変に有効である。ただピストン時は兼用靴よりはプラ靴や山靴のほうがよい。実際にはコメガモリ沢を外れて尾根に上がるあたりまでスキーで行けるのだが、滑りを攻めに行くようなところではないためやはりスキーはアプローチ用と考えたほうがよさそうである。今回は山靴で快適、天気にも恵まれすっきりまとまった山行となった。
番外編
バスで盛岡に出て、林太郎と大庭は夜行バスで帰京を試みるが満席のため、再びステビして翌朝鈍行で帰ることとしたようだ。年寄二人は久々に快適な雪山に山心がよみがえり、帰りにもう1本どこか行くことになった。どこかスキー場のトップからサクッと行ける所、大して綿密に計画もしてないのでスキー場のトップから1日の行程を見渡せるところ、行って満足なでかいところというところで、蔵王を目指すことになった。ぜいたくに新幹線で仙台まで行き、鈍行に乗り継いで山形でステビする。
24日
山形駅=蔵王温泉スキー場=ロープウェイトップ900-地蔵岳-熊野岳1020/1035-刈田岳手前-蔵王ライザーワールドスキー場-坊平高原-猿倉・南蔵王橋1500ごろ
移動性高気圧で今日も天気がよいと分かっていたため、勇んで蔵王のロープウェイに乗る。トップ周辺は有名な樹氷のモンスターがうじゃうじゃ生えているゲレンデである。稜線でいきなり樹林外、歩き始めれば行き先はずっと見えているのですっかり安心。軽く地蔵を越え熊野山頂へ。標高差にして200mくらいしかないので楽勝である。ツアー用にポールもずっと立っている。当初ピストンの予定だったがその先もずっと見えるので、隣のスキー場まで山を越えていくことにする。展望超雄大、樹林外の稜線なので山そのものもやたら雄大、でも標高差ちっちゃいのでかなりお手軽、全くいい気分である。天気がいいためか宮城側山形側ともに数パーティーが上がってくる。
となりのスキー場までの下りにもポールが立っている。エコーライン沿いはだだっ広くゆるい斜面が延々と続いて、道も分からないくらいすっかり埋まっており、冬期休業の登山リフトも完全に氷のオブジェ状態でそんなに人工物くさくない。途中エコーラインを外れて快適樹林内滑降をしてスキー場へ。途中うだうだ昼寝しても駆動時間4時間くらいであった。ガラガラのゲレンデを滑って、さらに株の車道まで無理やり下ってタクシーで蔵王温泉に戻った。今まで蔵王といったらでかくて怖くて何日分も食糧持って行かなきゃというイメージの場所であったが、コースを選んで天候に恵まれれば一日でも満喫できるすてきなところであった。もちろんラッセルが必要だったりガスったりしたら絶望的に厳しい冬山に一瞬で変わることは言うまでもない。
大変満足な山行をして、だがしかし2日連続の山形ステビをする。山形駅とそれにつながるビルはなんだか山形市の人口規模を考えるとどう考えてもでかすぎる。駅西部開発ってのも、いったいどうやってその費用を捻出してるのか、どうやってそれらを維持していくのか、おせっかいながらにまことに不安になる。翌朝米沢に出て、朝も9時ごろから食堂を開けてもらって米沢牛のランチを食べて、なぜかそこから日本海側に出て新潟経由で東京へ。沼田で途中下車して山彦でわらじサイズのとんかつを食べる。盛りだくさんな春休みになった。
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