榛名富士
高崎駅からバスで1時間。そこには黄金色に輝く榛名富士があった。調和が取れた、素晴らしい榛名の姿であった。
バスを降り、少し歩くと街が見えた。活気があるように感じた。建物が立派で、人も自動車も多い。野生化した猫もうろついていた。その街にいる猫は人を怖がらない。むしろ人を寄せ付ける。世情をわきまえた賢い動物もいるものだ。
しばらくすると陽が落ちた。街灯の灯りが榛名の台地を照らす。腹が減ったので、下界から持ってきたラーメンを食べた。しかし、やけに辛い。いや、燃えるように辛い。
明朝、山に登った。凍えるような寒さだった。朝陽を浴びながら、榛名富士は荘厳な佇まいで私を見下ろした。山の道は下界の道のようには整備がされていない。倒木をまたぎ、藪を掻き分け、道を確かめながら歩みを進める。道を間違えれば目標には辿り着かない。戻ることも容易ではない。常に自覚しながら歩みを進めなければならない。分岐点で別の道と合流した。目標はすぐ近くだ。
山頂に着くと、既に人がいた。挨拶をして写真を撮ってもらう。その後、続々と人が集まってきた。後ろを見ると、先程まで私を見下ろしていたはずの榛名富士は、身をかがめ、見下ろそうとしなかった。
下山道は実に快適だった。整備が行き届いており、何人もの人とすれ違った。老若男女問わずだ。途中、硯岩に立ち寄った。目の前に見えた榛名富士は堂々としていた。なるほど、彼は新しい時代と調和したのだなと、私は思った。
次の日、私は榛名富士で隠れていた、反対側にある山を登った。そこの山の道には、自動車が通った跡がくっきりと残っていた。ずっと歩いていくと、ただならぬ気配を感じた。その瞬間、斜面を逃げるように駆け登る動物を見かけた。灰色をした、犬のような狐のような、はっきりとしない動物だ。尾根まで登り切ると、私を睨むような眼差しでこちらを見た。しばらくすると、尾根の向こう側へと駆け出して行った。私は道を間違えていた事に気が付いた。自動車が通った跡が残っていたので、来た道を戻り、正しい道を探し直すことにした。途中、正しい道など無いのではないかと疑った。探すことを諦めかけた時もあった。けれども、懸命に道を探した。そうして、ある合流点を見つけた。もう一方の道に進み、その山を登り直した。想定以上に険しい道のりであった。岩場を越え、木を掻き分けて、岩場を越えた。最後の岩場を越えたところで山頂に着いた。すると、目の前に榛名富士があった。黄金色に輝く榛名富士があった。
新人の野口巧人です。新人のみでの山行は初めてで、不安なところもありましたが、何事もなく終えることが出来て良かったです!
榛名は良い所でした!また行ってみたいです!
ノブと雲海に包まれた榛名湖
コメント