72代夏合宿スムレラルート2R記録

登山・縦走

スムレラルート2R記録

【メンバー】
L 4年佐藤 SL3年小林(江森からの変更) 3年柿﨑 中島 2年峯岸 新人浦林 金子 木村 福地

【ルート】

8/11(水) 旭川駅―上富良野駅―十勝岳温泉C0

8/12(木) C0―富良野岳―三峰山―上ホロ岳―上ホロ避難小屋

8/13(金) C1―十勝岳―美瑛岳―美瑛富士避難小屋C2

8/14(土) C2―天然庭園―白金温泉

【ルート図】

【気象】

曇り時折晴れ

【行動】

8/11(水)

 スムレラ2Rは十勝連峰を西から東へと抜けるルートである。C0を踏む前に日程とメンバーに一部変更が生じた。日程についてだが、10日ごろに北海道を温帯低気圧が通過した影響で天候の悪化が見込まれたことから、11日の出発に繰り下げた。メンバーについてだが、SLの江森がマッナウ1Rで痛めた右ひざ裏の状態が思わしくないことからラウンドの参加を見送った。SLが参加しないことでルートの踏破にかかるリスクを検討したが、行程時間や今後の天気の状態を踏まえ、ルート通りに踏むこととした。メンバーが少なることからいつも以上に判断はアンダーということに落ち着く。

 旭川駅に13時ころ集合し、電車等を使いながら十勝岳温泉へ向かう。上富良野駅ではラベンダーが咲いていたがどうも季節外れのようで、あの鮮やかな紫色ではなく、くすんだ葡萄色に変っていた。

 十勝岳温泉の時点で非常に外気は冷たく、これが北海道の山かと気持ちを新たにする。ジンギスカンを焼いて食う。柿﨑の言い間違いに皆破顔一笑し、次の日の行程に備え就寝。20:00であった。

8/12(木)

 3:00に起床する。あたりは当然ながら暗い。駐車場は6割くらいの入り、登山客もそうだが温泉客も多そうだ。体操、係の連絡を終えて、4時手前に出発する。日の出前だが、ルートの序盤が比較的傾斜が緩く、危険箇所もないことから特に日の出を待つことはなかった。まずは沢沿いに上がっていく。融雪がだいぶ進んでしまったようで、流水が見られることはなかった。観光客の定義について話すなどする。登山客が2名後ろからやってくる。熊かと一瞬ひやりとする。4時半あたりからあたりが白み始めるが、霧がかっており視界はよくない。三峰山沢の左沢にて一本取る。ここの読図が新人微妙だった。朝で頭が回ってなかったのか、地図を見ていなかったのか。方角の変わり目と地形の様子、分岐を気にすれば容易であるのでここはできてほしかった。

 長い巻きを過ぎて、ようやく富良野岳との分岐に出る。金子の遍歴話が面白い。富良野岳はピストンする。全装を解いて各人には地図を、柿﨑のみ水・レーション・医箱を持たせて上がる。トップの峯岸の調子はそれほど悪くなく、パタパタと30分程度で上がってしまう。頂上はガス。何も見えないがとりあえず本Rの一座目登頂。写真を撮って下る。分岐に戻ると、5,6人の登山客がいる。このあたりでガスが切れ三峰山の方がよく見えてくる。写真タイム。ここから三峰山までは熊に特に警戒する。少し藪っぽい。ラジオの音を確認。まだ肌寒いが、半袖で余裕な人も。三峰山って三つの山があるからこういう名前なんですかね、と誰かが言う。そう思う。上富良野までのコルで一本。8:40。

 上富良野岳もそこまで晴れない。浦林の体調が思わしくないらしく、不安である。写真を見返すと毎回笑顔だったが。下界で30度あたりでも山に入ると10度前後は当たり前なので、どうも体調が悪くなるのは今後も十分あり得る。ここで十勝岳温泉から一緒に登ってきたお兄さんと分かれ、上ホロの方へ我々は向かう。ここでトップが分岐をスルー。ルーファイが簡単な場所だったので注意。体力的に余裕なのは好ましいが、自身の役割はしっかり果たそう。上ホロを登って、避難小屋へ。ここの下りでぬかるんでいる箇所があり、通過に時間がかかってしまった。スリップもあったので、低気圧通過時等は気を付けてほしい。避難小屋には1000に到着する。ダンロップが1張張ってある。テントは一発でクリア―。

 1100には早々と上ミを済ませてのんびりしていると、中島の呼ぶ声。くだんのダンロップの持ち主らと親交を深めていた。フライには「魔界への誘い」と書かれており、些か中二病味を感じないでもないが、本人たちはいたって普通の方々だった。聞けば愛知教育大学のワンゲル部らしく、縦走登山を同様にしているとのこと。体調不良者が出たことから一停して、明日下るらしい。

 夜はクリームシチュー。ティーパーティーは桃風味のお茶であった。出発時間についてひと悶着あったが、結論太陽が昇ってから行動を開始するということになった。行程に余裕があり、暗い中無理して尾根を踏む必要もないことを考えれば妥当だったろう。

8/13(金)

 2:30に起床。夜のうちに熊対策として置いていた70にビニル袋を回収する。しかし、ここで袋に穴が開いていることが分かった。幸いにして食料が消えることはなかったが、万が一を思うとぞっとする。匂い対策や袋の強度を考えると準備不足だった感が否めない。ザックの中に入れるなどより厳重に対策するべきである。なお、知床などでは食糧ボックスが設置されるが、我が部がそうした容器を持っていくのも一つ手ではあると思う。

トマトスープを摂取し、410頃撤収をかける。全員時間内に終えていた。430手前に出発する。ここから十勝岳登りの景色は素晴らしかった。柿﨑が何度も写真を撮るようせがむ。西側は切り立った崖と山影。東側は朝日。十勝岳に元気をもらい、下る。東側は火山灰が水気を吸っており、歩くたびに微妙に沈みこむ。直下の分岐で一本。足形手形をつけて遊ぶなどする。

異世界の中をのんびり歩く。言いようもない静けさ。動物なんているのだろうかと思う。火山灰が終わると次は砂礫ゾーン。くるぶしまでしっかり沈み込む。歩くというよりは、ずり下がるといった具合。特に危険は感じないが、不思議な感覚になる。

異世界ゾーンを終えると目の前は緑が増してくる。森林限界がどうも1800mあたりなのか?よくルートがすべて見える。爽快な気分。熊鈴を鳴らしたお兄さんが一人追い抜いていく。慣れた足取り。後を振り返るとプッチョグミだかたまごっちだかの顔のように見える雪渓が顔を現す。どこからでも見られているようだ。微妙に唇が曲がっているように見える。山の神かもな。

美瑛岳手前は岩場が連続する。ここでトップが小林に代わる。トップの経験よりも安全性を選んだ。ここの通過は少し時間がかかる。というのも山頂へのルートが少しわかりにくかったからだ。美瑛岳には800手前に到着する。出発からちょうど3時間半。ここで本合宿最初で最後となる式典を行う。山で校歌を歌うこともないのかと感じる。浦林の体調は変わらず思わしくなさそうである。

下りは思ったよりもてこずる。水はけがそこまでよくなく、ぬかるんだ箇所が多い。加えて、道幅が狭く、笹薮が繁茂していることからどうも歩きづらい。隊が微妙に沈んだ空気になりながら1時間程度かけて下りきる。

ここで水汲みに行くか否かの議論がされた。全員が現在持っている水の総量を再計算したところ、十分明日も持つと分かった。となれば、ポンピ沢に下って取水し、その後煮沸するといった手間も減る。もちろん、仮に気温が高く行動水が予定通り無くなっていたら、沢に下りていたため、必ずこのような場面で取水せずに進むという選択になるわけではないことに気を付けてほしい。その点、もともと余裕をもって取水を含めた計画を立てていたのは妥当な判断だっただろう。

分岐から美瑛富士分岐までの道のりは今回のRで最も難儀した行程だった。必ずしも道が敷かれているわけではなく、ところどころ熊笹やアザミといった植物をかき分けながらの行程になる。また岩場が流れている箇所もあるので、通過には慎重になった。結果として1時間で1㎞も進まず、かなり苦戦した。何とかきついトラバースを抜けて、美瑛富士避難小屋へ向かう。十字路のあたりからは前方の石垣山が見える。美しい。写真を撮る人もいる。避難小屋までは緩い下りになっているが、ここもぬかるみが激しい道だった。道がくぼんでいるところも多いのでよく注意して進んでほしい。1145に避難小屋に着く。先客は特にいない。4張りほど広く取れるが水はけが悪く、実際に張れるのは2張(それも飛び飛び)ほど。自然公園内で幕営指定地があるのでそれに従う。テントは一発でクリア。

差し入れのチーズを食べるなどして午後を過ごす。ここにはトイレがない一方、簡易トイレを使うための個室が用意されている。なかなか快適である。皆初めての簡易トイレ体験をしていたが、思ったよりも上々の評価がなされていた。2000に就寝。シュラフは快眠できる。

8/14(土)

 前日の熊対策はビニール袋の上からさらにカモ大で耐久性を高めるというものだった。このおかげ化はわからないが、無事食料を荒らされることはなかった。ただカモ大が大いに濡れたが…。食当ももう手慣れたものですぐにできる。味噌汁の具はやはり乾燥野菜だったが、数g程度なら付属のわかめをもってきてもいいのではと思う。ガスの中、美瑛富士を左手に下山する。思えば、あっという間の登山だった。中島が北海道の山もっと登りたい旨言う。岩が露出した場所で一本取る。柿﨑がするするとよじ登っていく。

 次第に山頂が後方に過ぎ去り、少しずつ登山客が増えてくる。ソロ客が多い。年代も性別も特段関係なさそうだ。次第に下界が見えてくる。あれがゴール地点だと誰かが指をさす。天気は晴れ。最後つづれ折が出てくる。ここがくだんの天然庭園か。庭園自体をあまり知らないのでこんなものかと思う。小林が自分に歌を振る。ワンゲルで何度歌ったかわからない、森山直太朗のさくらを歌う。75%のシーズンで季節外れなのだが、ちゃんと覚えている曲がそれしかないので致し方ない。少しだけセンチメンタル。

 白金温泉までは林道。元気を持て余した新人2年がかぱかぱ走っていく。結構強かったんだな。温泉には940に着いた。

総評

 十勝連峰は非常に美しい山域だった。とりわけ十勝岳から美瑛岳に至る道のりは景色が瞬く間に変わるので歩いていて全く飽きない。危険箇所もほぼないので、手軽に楽しめる山域に感じた。

ただ熊の出る地域なので対策はしっかりすること、トイレは(本来すべての登山でそうすべきだろうが)簡易トイレを持ち込むことが必須である。また取水は難しい山域である。日帰りか、もしくは一日の行程をより長くしてオプタテシケ・トムラウシへ抜けることを検討するのがよいかもしれない。いずれにせよC2くらいで行くならば今回のように沢・雪渓で取水を計画するか、事前に十分取水してから行くのが無難に思われる。なお、雪渓の水は8月にはほぼ枯れているところが多いという。

文責 佐藤

Waseda Wander Vogel

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早稲田大学ワンダーフォーゲル部の公式HPです。

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