240815-20 75代夏合宿3R沢・超歩行特化型ティラノサウルス隊

沢登り

【メンバー】L4年高橋、SL3年山崎、2年水野、2年渡邉、新人島田

【行程】

8/15(木)旭川駅S=旭岳源水公園ー清流橋C01h40min
8/16(金)C0ーポンクワウンナイ川出合ーポンクワウンナイ川・Co1290m右岸C114h20min
8/17(土)C1ー小化雲岳南西コルーカウン沢・Co1560m二俣C24h
8/18(日)C2ーカウン沢出合C310h30min
8/19(月)C3ー天沼南側コルートムラウシ山ー南沼キャンプ指定地C48h50min
8/20(火)C4ートムラウシ温泉G4h50min

【行動省察】

詳細はこちらを参照ください↓

https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-7159707.html

本HPの記録と併せて見ていただくと良いと思います.

8/15(木)

 昼頃,旭川駅に集合してバスを待つ。軽量化により軽くなったザックを見つつ,少なくなりすぎているような気もする.

 旭川源水公園バス停に到着.水を汲みたいのとトイレに行きたいので,源水公園に行ってみる.湧き水っぽいのが勢いよく出てきていた.管理人と思われるおじさんが10m後ろの方にいて,水を汲む人を見つめていた.

 ここから1時間40分ほどの林道歩きになる.かなりしっかり舗装された道路なので気持ち的に疲れる.源水公園でヒッチハイクでもすればよかったか.

 清流橋に到着.河原に降りるか迷ったが,駐車場(?)でテントを張った.今回は出発を1日遅らせており予備食袋が1つ余っていたので,この日の夜に食べる.棒ラーメンは夏合宿中はずっと食べているが意外と飽きない(個人の感想です).

 明日は4:30に出発するとしてさっさと就寝.

8/16(金)

 朝は各自で買っていたおにぎりやパンを食べ,4:30頃出発する.最初はクワウンナイ川入渓に関する注意書きの看板の横から廃林道を歩く.

 入渓すると最初は単調な河原歩き.夏合宿最後のラウンドなので疲労が溜まっているのか分からないが,そこまでペースは上がらず,普通くらいだった.

 だんだんと段差が出てくる.東京だと「滝」判定されるだろうが,この沢ではこれくらいは「段差」判定していないとやっていられないだろう.

単調な歩きの後半には巨岩帯があり,ルーファイが面倒.楽に通過できるところを探さないと疲れるので困る.ここらへんで若干ペースは落ちていた印象.

 そしてようやく滝っぽいのが出てくる.幻想的な写真が取れた.

ここが二俣.ここからが本番なのだが,ここまでに数時間かかるのが大雪山系らしいところ.正直ここまでで時間を巻きたかったが予定と同じくらいで通過した.

 狭くなってきた.全体的に深めなので岸に沿いながら乗り越えていく.

ゴルジュっぽくなってきた.核心の2段滝が近づいている感じがする.

 奥に見えるのが2段滝の1段目.1段目は容易に超えられるとのことだが取りつきがややバランシーな感じがしたのだが,恐らく重装だからだろう.

 2段目が難しいのだが1段目でそこそこ時間がかかってしまっていた.2段目は無理かもなと思い,最初から巻けばよかったかもしれないと若干後悔した.

 2段目は重装だとかなりパワーが必要であり,フェルトだと足が不安.取りついてみてすぐこれは難しいと思い,巻くことにした.最初から巻く判断をしていれば行動時間に余裕があっただろうが,取りつく方が楽しいので最初だしこれで良かったと思ってはいる.

 巻きは踏み跡はなくやや怖い登りをしてからトラバースした.怖いところはやや傾斜の強い土壁のところで,Lと渡邉がフリーで登ってからフィックスロープを出し,後続はアッセンダーで確保した.

 トラバースしていくと↓のような感じで降りていける.葉が大きくセロリのような茎の植物しかないので滑り落ちないように注意.

その後も滝は続いていく.右か左かをいちいち考える必要があってトップは大変そう.

残置がある滝は渡邉が取りついてみたが,落ちてドボン.からのびしょびしょメガネに早変わりした.これも足場がなくて難しいらしい.

その後も小さめの滝が連続し,スタスタとは歩けない.

そろそろ核心20m大滝だろうと思うのだが,意外と時間がかかっていてまだ着かないのかと少し焦る.

すると20m大滝の前に大滝があった.これには少しOh…と思ったが,左から登ってみる.

草付きから上がって良いところでトラバースし,最後は手がかりがあまりない岩を登る.トップで自分は草付きを登り切ってしまったが,渡邉がこのルートで開拓してくれた.後続はフィックスロープでアッセンダーの確保をした.

20m大滝で一応写真撮影.正直時間ないなと思って焦っていたが,一旦落ち着いて写真撮影.

ここから1時間20分に及ぶ右岸高巻きに耐えた.軽装であればもっと攻めたルーファイで短く済むだろうが,縦走だとトラバースが怖くて大きめに巻かざるをえなかった.

沢に復帰後も滝が続く.どこを登れば良いか考えるのに疲れる.登れるのに面倒な高巻きをしてしまうのは時間がもったいないので避けたいところ.

この滝も一瞬巻こうとしていたが,意外とロープ無しで中央突破できる.

渓相は若干穏やかになってくるが,大滝がまだ少し残っている.

この大滝は左から登り,落ち口付近で岩のボコみを乗り越える.その乗り越えるときだけ少し怖いかも.

この大滝の左から.ロープを出さずに突破できるが,そこまで簡単なわけではないので注意するべき.

Co1290mまででは最後の大滝も左からになるが,その奥に小さめの滝があるので,2つまとめて巻く.↓の写真は奥に滝があると分かって1つ高く上がって巻こうとしている図.

その後は落ち着いたナメが続く.スケール感はクワウンナイ川に劣るが,これまでの激しい渓相に打って変わって穏やかな渓相になるので結構良い.

この日の行動時間は非常に長くなってしまい,19:00頃に幕営地に到着した.ハラハラする場面もあったが安全に行動できたことが良かったと思う.時間短縮食当(15分くらい)でパスタを食べ,明日の行程を短縮することに決定し,7時間睡眠が取れるように起床時間を設定し,就寝した.

8/17(土)

Co1290m地点の幕営地はこんな感じでした.

Co1290m以降は穏やかな渓相で,大きな滝はあるにはあるがロープを出すほどではなかった.

凱旋門と言われるポンクワウンナイ川最後の滝をまだかまだかを待ちながら歩く.過去の記録で気づいたら凱旋門来てびっくりしたというものがあったので,滝が来るたび写真を撮って4段の滝とやらを特定しようとしていた.

これで奥に見えるのが凱旋門.5段くらいあったような気がしたが,実際どうでもよい.

凱旋門が思っていたより小さめの滝なのだが,とてもオシャレな形をしている.水線の右を登った.

実は凱旋門のすぐ上にある小さな滝がポンクワウンナイ川最後の滝です.まぁ段差ということにしておきましょう.

その後は源頭の雰囲気となり,大雪山系らしいのっぺりした詰め上がりが始まる.

だんだん視界も晴れてくるのだが,沢形ははっきりしている.

獣道(?)が所々で出てくるが,沢を歩くのとそこまで変わらないかも.

上部には藪漕ぎがありそうだが,実はこのルートは全然大したことなく詰め上がれる.

ポンクワウンナイ川遡行完了!普通にうれしいが,本計画はまだまだ続くので気は抜けない.次はカウン沢だ.

カウン沢に降りていく.傾斜はそこまでないが,フェルトソールだと少し滑る.少しすると藪っぽくなるが,鹿道があるので大して辛くない.

水流に合流.視界が開けていて,岩が赤色で綺麗.

快適な歩きが続き,幕営地に到着する.二俣に気持ちの良い幕営地がある.ただ鹿や熊のフンが多い.

源頭部なので,若干薪木が集めにくいのだが,頑張って集めた.

8/18(日)

翌朝,雨が中々止まないので出発してしまう.全く寒くないので良いが,大滝での懸垂下降のときには止んでていてほしいなと思う.

カウン沢は基本的に歩き沢で,大滝の懸垂下降だけ注意する.

1つ目の懸垂下降.懸垂下降のセットはどれも左岸を登って立ち木を探すことになるため、毎回山崎と自分の2人だけで空身でセットした。他の3人は休憩。落ち着いて立ち木の選定ができ、セルフビレイがセットできそうなナチュラルアンカーも探して下級生にそこでセルフビレイをセットするよう指示できるので、悪くない行動の仕方だったと思う。少し上の方の立木を支点にしたせいか,かなりギリギリ地面に届いた.

その後,これくらいの滝はあるので慎重に降りる.

2回目の懸垂下降.

その後,細引きを出した滝があった.水線を避けて降りた.

気付いたら渓相が源頭とは全然違う.中々かっこいい.

最後の懸垂下降.2段になっている1段目の上に降り,右岸を巻いて降りる.

空中懸垂になるのでザックは別で降ろす.空中懸垂はそこまで怖くなく,結構楽しい.

ようやく幕営地に到着.この日は懸垂下降にかなりの時間がかかり,待ち時間が長く10時間行動になった.

テンカラ釣りはうまくでき,焚火で焼いておいしくいただいた.

8/19(月)

幕営地はこんな感じだった.今日の行程は3年前に既に行っているのでもう安心.

魚止めの滝を見る.これまで大雨に見舞われたことはなかったので増水はしていなさそう.

そろそろ滝ノ瀬十三丁が始まる.これまでの行程がハラハラばかりだったので,癒しを求めて歩く.

滝ノ瀬十三丁が始まる.車が通れるくらい広く,水流は思ったより強く,ぬめりはあるところはある.苔のあるとこをひたひたと歩くのが良い.

ナメ滝が終わるとハングの滝が来る。3年前に比べてはるかにわかりやすい巻き道を通る。垂壁を登るときは落ちると大変なので慎重に。

2段の滝の巻き道も明瞭だが、登りすぎてしまうことが多いみたいなので注意。薮を漕ぎたいなら登りすぎた方が楽しいかも。

2段の滝を越えると源頭の雰囲気となる。ここからが長いのが大雪山系。

視界が晴れ、沢型がなくなり、ただの登山になる。

ロックガーデンは気持ちの勝負。無心もしくは夢中で登る。

登山道に出るともう安心。やっぱり登山道って歩きやすいなぁ。

平坦で悠然とした景色を見て歩く。若干雲が出始めたが、山頂では晴れてくれるだろうか。

山頂付近はまだガスってない。1R登山ではガスってたらしいので、どうにか晴れてほしい。

晴れました。雲の隙間でちょうど視界が晴れて大満足。よくここまで来れたなと自分達を褒めたい。

今後の天候などを考えて南沼キャンプ場で撤退を決定し、余った食糧を調理する。まだ下山してないけど、すでに達成感に満ち満ちていた。

8/20(火)

翌朝、雨だったが、そこまで強くはなく、幻想的なトムラウシ山を見る。

神々しく綺麗な山域である。

だんだんと雨が強くなる。雨具は着なくてもギリギリ大丈夫なくらい(普通なら着るくらい)だった。

下山はやはり長いなと思ったが、夏合宿最後の山行なのでそれも一興だと感じてしまう。トムラウシ温泉に入り、タクシーを呼んで帰る。

巨大カツラーメンを食べて、帯広で行う集結式へと向かう。

【計画省察】

 本計画は夏合宿最終ラウンドで純粋な沢活動の深みを目指して作成した。75代の沢活動の趣向は登攀的で突破力を必要とするものだったため、天候により行動日数が少なくなったとした場合にはポンクワウンナイ川↑を優先して行うように行動準則を設けた。

 ポンクワウンナイ川↑カウン沢↓の行程が難易度が高く、クワウンナイ川↑は普通くらい、ワセダ沢↓トムラウシ川↓は易しいと考えていた。結果的にワセダ沢↓トムラウシ川↓の行程はカットしたものの、難易度の高い行程は踏破できたため満足度は高くなった。

 計画作成には非常に時間がかかり、計画が承認された後でも様々な記録に目を通していた。コースタイム計算が最も難しく、ガイド本に記載のタイムより多く見積もったが、ポンクワウンナイ川↑カウン沢↓の行程については特に実際と大きくずれてしまった。1日目のポンクワウンナイ川については幕営適地をしっかり調査しておいて良かった。

 人数は最終的には5人になったが、もう少し大人数になった場合には行動の仕方や装備、食糧について考える必要があると感じた。

 難しい登攀に悠長にチャレンジしている時間はないので、最初から高巻きするつもりでいるとか、空身で登ってザックは後から引き上げるような流れを練習しておくとか、ある程度の作戦は必要になる。軽装でC1くらいの計画ならゆっくり遊べるが、重装でC4ならあまり遊ばない方が良いと感じる。

 懸垂下降が連続する場合には、2箇所に分かれて懸垂できるようにザイルを2セット持っていくなどすると良い。懸垂下降はセットにかかる時間が長くなるイメージだったが、大滝の場合はビレイデバイスを操作して降りている時間も長くなるので、なおさら時間がかかった。

 食糧は「カロリー」「満足感」「軽量化」「調理しやすさ」「食べやすさ」「片付けやすさ」などを吟味して調整すべきである。カレーやシチューはカロリーがあり満足感があるが、重量があり調理の手間もあり、食べ終わってからコッヘルを拭くなどの片付けにも手間がある。長時間行動が予想される日にそのような献立だと新人が疲弊するため、望ましくないと考えている。パスタや棒ラーメン、尾西のご飯などを検討して欲しい。今回はそのような調理や片付けのしやすい献立にしたが、軽量化を狙いすぎて分量が少なくなってしまった。計画によって調整が必要。

 トムラウシ川↓の後にある林道は、雨量計までは荒廃しており薮だらけらしい。本合宿1R沢の戸蔦別川本流でも最初の林道歩きが薮薮だったのだが、そのイメージで合っていたら中々不快だろう。北海道の林道は過去に台風などで荒廃しがちなので、どこまで車が入れるかや歩きやすさをしっかり調べると良いと思った。

【感想】

この計画を実行するために中々頑張ってきていたので,なんとかトムラウシ山まで行けて良かったなと思います.この経験が自信となり,今後も沢登りを楽しんでいけそうです.by高橋

Waseda Wander Vogel

Waseda Wander Vogel

早稲田大学ワンダーフォーゲル部の公式HPです。

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