大雪山 クワウンナイ川 2007/8/27-29

Posted on 8月 27, 2007 in ワンダリング記録, 沢登り | 0 comments

 

期間   2007年9月27日-29日
地域   大雪山 クワウンナイ川
メンバー   L廣光OB SL酒井 池田 筒井 古川 大家監督夫妻

 


 

 8/27 晴
 6:20天人橋-6:35/7:00ポンクワウンナイ川出合-12:58カウン沢出合C1

 

 58代夏合宿集結後、釧路から電車で美瑛に移動しステビ。翌日5:30に、美瑛タクシーで天人峡手前まで移動し、クワウンナイ川の入渓点に着く。トンネルを抜けてすぐの天人橋手前にある駐車場から林道に入って行くことになるのだが、数年前に道路の位置が変わっており、それが反映されていない1/25000図を見ていて多少戸惑った。入渓の注意を促す看板の下をくぐり、ポンクワウンナイ川出合まで行くと、いよいよ入渓開始。歩きやすい場所を選んで、何度も左右に渡渉しながら進んでいく。一本目でゴルジュ地形を一か所右岸から高巻くが、後は難しい場所も全くない。初日のカウン沢出合までの行動は、沢登りというよりは沢歩きという感じだ。沢に反射する陽光がただただ眩しい。

 650m付近を越えると沢幅も広くなり、ルートの選択肢も増えてくる。大量に飛んでいる鈍感なトンボが、クワウンナイの原始性を感じさせてくれる…が、それらを捕食する獰猛な影が。そう、他でもない日高で藪漕ぎをして来た日昇高天隊の面々である。「バッタはエビの味がしますよ」などと抜かしているが、捕食の対象はバッタやトンボなどの虫だけに止まらず、カエル!!にまで及んでいる。SLの口から出るカエルの足を見たは、とてもやるせない気持ちになった。もはやサバイバルというよりは、ただのゲテモノ喰いである。レーションあるならそっちを食えばいいのに・・・。

 

最初は狭い渓谷の遡行 しばらくすると周囲が開けてくる

 

歩きやすい場所へと、渡渉の繰り返し 清流が心地よい

 

ひたすら上流へと遡る クワウンナイは夏真っ盛り

 

 この日は特に問題もなく、後半は代り映えしない沢の様子に少々げんなりしながら、カウン沢出合。非常にきれいに整地させられたテン場で、テント5張りぐらいは行ける。さっそく釣竿を出して、今夜の晩飯の調達開始。餌のブドウ虫を水中に入れて5
秒程度経てば、たいてい岩魚がヒットする。これが入れ食いというやつか。餌が食われる前に魚を外せば、4,5回は再利用できる。しまいには紙切れを付けただけでも釣れることが発覚し、一人当たり10
匹オーバーの釣果となった。小さい魚はキャッチ&リリースするようにしたが、一番大きい岩魚は、針がヒレに引っ掛かって釣れるという間抜け振りを晒してくれた。ただ、釣りに夢中になって一眼レフを水に浸けてぶっ壊した某カメラマンは、それ以上のアレっぷりである…。釣った魚は塩焼きにして美味しく食す。ここは正に自然の宝物庫だ。

 

ダイナミックな漁…ではなくただの飛込み 釣竿を出して晩飯調達

 

釣り上げたた岩魚達 塩焼きにして美味しく頂きました

 


 

 8/28 晴
 5:02カウン沢出合-5:49魚止めの滝-8:04ハングの滝上二股手前-9:53沢終了点(ツメ用道)-10:45/11:11縦走路(荷物デポ)-12:15/13:00トムラウシ山-13:52デポ地点-15:11ヒサゴ沼C2

 

 4時起床。オートミールにシリアルと牛乳を混ぜたお手軽朝食なので、5:00には行動開始。本日の行程こそがクワウンナイ川が真髄を発揮する部分であり、それに比べれば昨日の行動はアプローチの様なものである。青空の元、期待に胸を膨らましながら進む。最初の一本弱は昨日と同じような感じだが、魚止めの滝に到着すると、徐々に渓相は変化。魚止めの滝と、その直後に現れる同程度の高さの滝をいずれも左から巻くと、ナメ床の地形が広がり、いよいよ1.5km にも及ぶナメの天国『滝ノ瀬十三丁』が、その神秘的な姿を現す。

 さっそく愉快そうなウォータースライダーが現れるので、現役四人が突撃。八月末と言えども、ここでは晩夏。しかも早朝なので、水はピリリと冷たい。案の定、低体温症の初期症状を伺わせながらも、果敢に釜に飛び込んでいた。そこを越えると傾斜はさらに緩くなり、写真で何度も見た、ナメ床のロングストレートが現れる。沢床は絨毯のように苔が生え茂り、足裏のフリクションは、ふわりと優しい。どこまでも続くナメを無数の白い流れが覆い尽くし、足元を掬うような抵抗は、ナメとの一体感を感じさせる。全身を貫く清涼感!このナメの魅力は、実際に歩いてこそのものだろう。日本最長のナメは、確かに噂に違わない素晴らしさだ

 

魚止めの滝 巻道から俯瞰

 

さらに上部の滝

 

滝ノ瀬十三丁の荘大なナメが広がる!

 

 右に黄金ヶ原の池塘群に端を発する滝を見ながら左折すると、緩い傾斜のナメ滝が現れる。見るからに巨大なウォータースライダーだが、今度は滑るとヤバそうだ。ナメ滝は滑ると危ないから、はしゃぎ過ぎて怪我しないように!と事前に注意しておいたはずなのだが……やってしまった。最上部の釜に足を滑らせ、あわやの滑落。しかし、5m程下の釜にハマり事なきを得る。ただ右手に持っていたデジカメは水没し、今山行で二機目の故障というデジカメクラッシャーぶり。ほんとすんません…。

 終始、芸術的なナメの作り出す地形に感動を覚えながら、遂に滝ノ瀬十三丁も終盤。ナメの遥か奥に、荘厳なナメ滝が聳えている。ここも右から簡単に巻けるのだが、勢いに任せて簡単に越えてしまうにはあまりにも惜しいナメの渓相美だ。予期せぬ入水により、寒さで震える手でホールドを掴んで登ると、ナメは突然にして終わりを迎える。その先は、見慣れた凡庸な川原の広がり。突然の別れに、何度か地図を確認する。十三丁とは長いようではあるが、その美しさに捉えられた遡行者達にとっては、未練を感じ得ない程度の長さでしかない。名残を惜しみながら、尚も進む。

 

左岸から滝が合流 滝ノ瀬十三丁にて記念写真

 

傾斜の緩いナメ滝 まだまだナメ状地形が続く

 

 オーバーハングの滝は、両岸を絶壁に挟まれ、直登は非常に困難そうな滝だ。滝の下には巨岩がしこたま飛沫を浴びており、滑落したらかなりヤバそう。右岸に巻き道があるので、そちらを進む。途中でロープ箇所があったので安全を期して空身で登り、ザックはロープで引き揚げる。高巻き終了直前で二張り程の幕営可能場所がある。

 二股では、両側に迫力のある巨漠が二つ聳え、真ん中の尾根から取りついて左の滝を高巻く。右手の沢には洞穴の様な地形もあり、何やら幻想的な雰囲気が漂う場所だ。滝の上部でブルーベリーを発見して食べる。ここからは急に川幅が狭まり、クワウンナイは源頭の趣となる。

 徐々に標高を上げ、滝を登って行くと、ふいに背後に美瑛・富良野の町が広がっているのに気付く。なんと雄大な景色だろう。そして横手には黄金ヶ原の大草原。時々現れる階段のような小滝が、陽射に煌いている。滝を一つ右岸から巻くと、水も徐々に絶え、ゴーロ帯を抜けると急にカール状地形に飛び出す。詰めは沢の横に道が付いているので、そちらを辿る。それにしてもこのカール、巨岩のモレーン群や、点在する池塘、高山植物にブルーベリーと、まさに天国の様相を呈している。詰めまでも魅せてくれるとは、クワウンナイ恐るべし。

 

 

開放的な沢上部 遠くには美瑛・富良野の町並み

 

ツメは天国の様相

 

 縦走路に出てからは、ザックをデポしてトムラウシにピストン。ナキウサギの鳴くロックガーデンの中を行く。北沼からは幾分不明瞭な登山道となり、少々迷いながらも一時間程でトムラウシ山頂着。大雪の奥座敷と呼ばれる巨岩から形成された頂からは、北に旭岳、東に石狩岳・二ペソツ、南西には十勝連峰、西側には美瑛の街並み等の大展望が広がる。足元には無数の天を突く岩塔や、コバルトブルーの沼々が点在。360°見渡す限りの広大な大雪山のキャンパスに、様々な自然の芸術が展開され、それらすべてが三次元の絵画となって怒涛の如く視界に押し寄せてくる。ここは正にカムイミンタラ(神々の遊ぶ庭)と呼ぶに相応しい。二日間に渡るクワウンナイ遡行というストーリーの結末は、大展望のトムラウシという最高の結末で締めくくられた。塩漬けにしたオショロコマを食べながら、心地よい風の中、いつまでも景色を目に焼き付ける。

 ザックを回収し、日本庭園と呼ばれる池塘の点在する登山道を通って、本日の幕営場所のヒサゴ沼へと向かう。ヒサゴ沼の手前は雪渓があるが、水を汲んでいた他の登山客が、小屋の近くの沢は涸れているので、ここで汲んでいった方が良いよとアドバイスしてくれた。八月末ということであまり登山客の姿は見当たらず、ヒサゴ沼の脇で快適に過ごす。耳を澄ますとナキウサギの「キッー」という鳴き声が聞こえてくる。湖面に石狩岳と、皆既月蝕の赤い月が浮かんでいる。

 

 

トムラウシ直下の北沼 西方には旭川方面の展望

 

十勝連峰方面からの縦走路は岩塔多し 岩々したトムラウシ山頂

 

 

とんでもなく広い稜線を歩く モレーンの異様な地形に思わず見入る

 

ここはナキウサギの楽園 ヒサゴ沼の雪渓地帯

 


 

 8/29 曇のち晴
 4:30ヒサゴ沼-5:34カウン岳-9:15滝見台-9:58天人峡

 

 3時起床。水を組むために、昨日の雪渓地点を経由して回り込む様に化雲岳へ向かう。水場はエアリアにはエキノコックス対策として要煮沸と書いているが、雪渓から直接出る水は大丈夫という通説を信じて生で飲むことにする。しかし我が身かわいいLは、昨日煮沸した水しか飲まないというヘタリっぷり。虫をも喰らう日高隊のメンツは今さら意にも解いしていない様子だが…。化雲岳へはヒサゴ沼から直接向かう登山道もあるが、回り道をした方が、何故かコースタイムが早い。おまけに岩場では、天を仰いで鳴いているナキウサギの姿も拝むことができた。氷河期の遺物で、生きた化石と呼ばれるほど貴重な彼らだが、その容姿は余りかわいいとは言えず、それが逆に愛らしいかったりする。

台地状に広がるトムラウシの威容を振り返りながら登っていると、徐々にガスが出てきて、化雲岳山頂に着くころには視界なし。大雪山のヘソと呼ばれる山頂の大岩に登ってみると、足元を二匹のシマリスが駆け回っていた。小化雲岳を過ぎるころからはガスも取れ、前方に溶岩流跡の残る大きな旭岳の姿を拝むことができる。なだらかな尾根をひたすら下り、第一高原では湿原の中を木道歩き。その後、急峻な側壁を持つ忠別川に沿う様に登山道を歩く。道の途中でブルーベリーを大きくしたような実がたくさん生っていたが、タネがあり不味かった。滝見台で羽衣の滝の姿に目を楽しませた後は、一気に高度を下げ、天人峡に降り立つ。

 

 

前方に忠別川の断崖を臨む 第一庭園の木道

 

天人閣で温泉に入ろうとするも、二時間待てないと入れないと言われたので、遊歩道経由で羽衣の滝を見物。魚影は無さそうだが、暇なので川で釣竿を出して遊んでいたら、観光客の注目の的になってしまった。肝心の温泉は値段は少々高いが、天然の断崖絶壁が壁になっていたりと、趣向の凝った造りになっている。16時ごろまでバスがないので、旭川へはタクシーで移動することにするが、バスで移動する場合の3倍は掛かってしまった。

旭川では北海道の幸を楽しもうということで寿司屋で打ち上げ。トンカツと寿司の食い合わせという妙な図となったが、やはり下山後の飯は上手い。この後もそれぞれ東京に帰るまでに行く場所がある様だが、新人の二人は新人による新人の為の集結があるということで函館に向かうらしい。我々の頃は考えられない事だ。LとSLはこの日は旭川に泊まることにしたが、海鮮バイキングなるものを御馳走になり、北海道の幸を心行くまで楽しむこととなった。北海道は、ほんとに良い場所である。そしてクワウンナイは、北海道の自然の魅力を凝縮した素晴らしい場所であった。

 

 

滝見台から見る羽衣の滝 天人峡へ下山

 

天人峡名物 『羽衣の滝』

 

 

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