期間 | 2007年2月7日(水)-2月13日(火) |
山域 | 戸隠連峰 / 乙妻山・佐渡山 |
2/8(木)-2/10(土) WWV山小屋 スキー練習 |
全装歩行で山小屋へ | アイピンスクーリング中 |
前半メインはスキー練習 | WWV山小屋のある日常 |
2/11(日) 戸隠大橋(7:50)-佐渡山コル(11:05)-氷沢川渡渉-乙妻北東斜面入口B.C.(14:05) |
山小屋でのスキー練習2日間を終えていよいよツアー当日。前日からかなりの緊張感がただよっていた。朝4時起床。前日の準備の甲斐あり、食事は15分でできる。食当以外の人間もテキパキと準備を進めていく。前までと違って一つ一つの行動が手際よく、何も言うことがないほどだと思いながら席に付き食事をする。炊き込みご飯と味噌汁・・・、普通のメニューだ。しかしなぜこんなにもしょっぱいのか。ホウトウが味噌汁の中で水を吸っていてドロドロしている。食事に意外と時間がかかってしまった。ご馳走様をしたのが4時45分。山小屋前集合を5時15分に指定して食器を洗い、テルモスを汲ませて、軽く掃除をする。 5時15分 山小屋前集合。火の元確認と水抜きをしてLが最後に出る。団配チェック、体調チェックを行い、軽く体操をして出発。春田さんとはメールでやりとりをしながら、苗名の湯での合流を目指したが、バスが止まらないらしく、杉の沢上で合流することになった。6時00分 苗名の湯着。スキーをスキーケースに入れ、パッキング。ジャンボタクシーに無理やり乗り込んで杉の沢上にて春田さんの乗っているバスを待つ。運転手がごちゃごちゃ言っているが合づちを打ちながら無視する。バスが到着して、春田さんがタクシーに乗り込み戸隠大橋を目指し、出発。 7時20分 タクシーが大橋に付くと愕然とするくらいの人で賑わってしまっている。ざっと50人以上、100人いるかもしれない。これ全部乙妻に行くのか、などと思いながら、ピッケル・スキーケース他の余計なものをデポすべく埋められそうな場所を探し、建物の横に決めた。戻ると聞こえてくる話の内容やそれを聞いていた隊員の話で、どうも向こうの人達は埼玉の高校生らしいことがわかった。山岳部の合同合宿らしい。そうだな、いくら乙妻が人気あって連休でもさすがにあの人数はないなと納得した。 7時50分 ビーコンチェックとスキー体操をして出発。オーダーは廣・穂・御・小・谷・春・酒・鳴。天候は良くないが、時々うっすらと空が見える。新雪は15cm程度で、トレースもあり軽快に林道を行く。 8時46分 林道の分岐を過ぎて尾根に取り付くところで10分休憩。トレースがあるので、予想より早く着きそうかなと思いながら、1年の読図を見る。みんな読んでいたようで問題なし。 休憩が終わりザックを背負い出発。この尾根は細くてところどころ急斜面がある。そこでハマる可能性も計画段階から指摘されていたし、実際来て見ると笹や藪も出ていて中々いやらしい急登だなと思った。新雪層は30cm。暫くは切りながら問題なく進むが、1370mの急なところで谷口と小松が転び始める。シールをうまく利かせられてないこと、キックターンの時にテールが上がっていないことが原因で、しかもズルズル落ちてきてテールが埋まると中々抜くことができない。2パーティーに先に行ってもらい、オーダーも変更して小松と谷口の間に春田さんとする。酒井には先に行って貰って、10~20分位春田さん、御手洗、鳴海で「体重を板に乗っけてシールを利かせる」「腰が後ろに引けてて体重が乗っていない」などのアドバイスをしていた。しかし転ぶ回数が増え、焦ってきたのか一向に改善されない。気温は低くないが動かないと寒い。小松たちの体力的にも時間的にも厳しくなってきたので手を貸すことにする。ちょっとの登りに40分かかり、隊が二分してしまった。尾根に上ると大分歩きやすくなり小松と谷口も転ぶ回数が減った。小松は途中から平気な顔をしている。 |
11時05分 佐渡山南コル着、リミットの12時までには時間があるが、皆かなり「時間かかったな」と言う表情をしている。休憩15分の間にシールを外して置くように指示。これからのルートは100m弱の滑降をして沢の渡渉もある。さてどの位の時間がかかるか。休憩を終えて滑降に移る。それほど濃くない樹林帯の中、新雪層が30cm程度あるが滑るのに難しいことはないが、谷口がバタバタと転ぶ。疲労からなのか、シュテムターンで全然曲がれないという。酒井に斜滑降での滑りやすいようなルートをとるようしてもらう。が、曲がろうとすると必ず転ぶ。・・・もはや今はどうすることもできないのでリカバリーの補助をしていく。小松はと見ると滑降は無難にこなしている。 1460mの沢の渡渉点に着く。割と小さいスノーブリッジなのだが渡れる位である。酒井が調子に乗ってトレース外のところから突っ込んだら橋が少し崩壊した。みんなはシールを付けずに渡ってその後シールを付けているが、谷口はシールを付けてから渡ったほうが良さそう。その先は傾斜のないトラバースなのでハマリポイントもなくスイスイと進む。 12時47分 もう一つの沢のところで一本。読図で驚愕の回答が出て一しきり賑わう。ここからは乙妻から延びる稜線を巻くように行く。途中から林道がありその一部に急傾斜があり雪崩の危険があるので、1人ずつ渡る。 14時05分 1400mB.C.着。予定の行動時間通りではある。テントを割りを指示して、すばやく整地・テント設営。テント設営中に宮崎さんと、一緒に登っていた法政ワンゲルの人たちが下りてきた。軽くお話をしたところ登頂はできなかったらしい。記念撮影をして分かれた。 15時30分に食当点火。1テント4人なので全員せっせと水を作る。C1のメニューはカレー。カレーには外れがない。春田さんからウィンナーもある。その後、上級生ミ-ティングとT.P.で今日の反省をする。そして明日のルート、リミット、樹林帯が切れたあたりから雪崩の危険があることを確認して21時就寝。 |
2/12(月) B.C(6:40).-北東斜面1570m(7:35)-1800m(8:42)-2050m(10:08)-稜線(10:57)-乙妻山頂(11:30)-(同左)-B.C.(15:03) |
6時40分 乙妻ピストンの日。このプレ春合宿中のハイライトとなる日だ。乙妻山は標高2318mの戸隠の「裏山」であり、頚城山域を見渡せる壮大な景色と無木立・パウダー滑降の素晴しさで知られる積雪期の名山である。ピストンなので900mアップしたら同じだけ滑ることができる。当然か。 5時起床で食事を作り、装備と体調チェック、そして体操とビーコンチェックをして、6時40分の日の出ともに行動開始。オーダーは昨日のことを考慮して廣・酒・御・小・春・谷・穂・鳴。 天気は曇りで、-5℃くらいで気温は最近の合宿より低いが例年と比べると暑い位であろう。樹林の中を直登でゆっくり進む。新雪層は変わらず20~30cm積もっている。重くなく快適な滑降ができそうだ。1年と左右の地形をしっかり読み取りながら読図をしていく。 7時35分 1570m地点で一本。1540m地点で樹林が切れる。ミーティングで確認したとおり弱層テスト(コンプレッション)をしてみる。肩でたたくと落ちるようだ。微妙なところである。大きな沢の中にも小さな尾根と沢がありルートを選ばないと苦労しそうだ。 ここまででは特に問題はないがこれからの急斜面ではどうか。斜面は徐々に傾斜を増してくるから、ここからが勝負所。斜面を切りながら進む。前日の急斜面時の ように転倒してもがく事態にはならないがキックターン時にテールが刺さると言うところは変わってない。次回での課題だな、と思いつつそれほど問題がないのでそのまま進む。景色を見ながら登る登る・・・・。 8時42分 1830m 地点で一本。この辺りから先行パーティーの姿見えるようになってきた。良く見えないが、スピードはあまり速くなく、いつか追い越しそうだなと思いつつ登 る。明確に尾根上を行くルートを若干外して真西方向に歩きやすいところを選択しながらキックターンで進む。先頭のラッセルは廣光さんが主にやっていたが流 石にきついので春田さんと酒井の3人でラッセルのパーティーを組む。小松と谷口は疲労が少しずつ見えはじめ、前後での差が少し広がる。 10時08分 2050mで一本。先行パーティーは男1女2で山頂まで登らずに、ここから滑降を始めるらしい。軽く会話をして、さっさと下っていってしまった。ここからはトレースもなく、先行者はいないようである。稜線まであと少し、左斜め上のコルを目指して斜登行。ペースもあまり上がらずリミットが気になり始める。小松や谷口を 励ましながら少しでもペースを上げようとしてみると、稜線が近づくにつれて少し元気になる。 稜線着。リミット一杯での到着だったので、この先に進むかどうか少し迷う。だが、ここまで来てという気持ちと、谷口の「山頂に行きたいです。」の言葉で、 少々時間が気になるものの山頂を目指すことにする。稜線上は風が少し強く、岩が露出している部分も、ちらほらとある。しかもクラストしていて歩きにくい。 小松が遅れて、少し隊と離れる。 山頂がもう手前にあるそこでみんなやるべきことをやる為に集まる。Lが酒井に大声で問う。「この空の色は何色だーー!」 酒井「紺碧でーーす!」『パカパーン、パカパーン、パカパーン・・・』 紺碧の空、やはり登頂を喜ぶ歌はこれしかない。歌が3回目くらいリピートされて山頂着。『お疲れ様でーす。』 11時30分 山頂着。稜線までは晴れていたのに、山頂は残念ながらガスっていて展望はない。しかし皆に達成感が感じられる。この山に来てよかった。暫くして山頂での式典。早稲田の校歌を歌い、エールを叫び、20分間休憩の後に風の冷たさで山頂を後にすることになった。 稜線は滑れないので滑降ポイント まではシールを付けたまま滑る。そこでソロで登ってきた人とすれ違うが会話は皆無。春田さんが冗談交じりに説教を行う(部員に)。ガスっていた山頂から稜 線に出てみると晴れていることが際立つ。稜線から見る高妻山は大きく、いつか登ってみたいものだと思わせてくる。 |
乙妻北東斜面にアタック! | 深雪斜面のトレースを登る |
上部は徐々に急斜面へ | 稜線に広がる大雪原 |
最後の細尾根を進む | そして眼下には黒姫山 |
12時40分 シールを外し滑降準備をして、いよいよ待ちに待った乙妻山北東斜面!前日の積雪で上は新雪でふかふか。その分雪崩の危険はあるが、弱層テストでは肩で落ちたので気をつければ大丈夫であると、このときは思った。滑降は2パーティーで、オーダーは廣・酒・小・御と、春・穂・谷・鳴。離れないようにバランスよく振り分けてみた。ルートは左斜め方向に取り、滑降開始。 先発は小松がハマリ、後発は谷口がはまる。やはり山での本格的滑降が初めてでは滑りづらいか。斜面は急だがそのお陰で板は良く走ってくれるのだが・・・少し滑っては後ろに転ぶ。斜面を怖がっているのかゲレンデよりも後傾姿勢になってしまっている。リカバリーを手伝いながら徐々に高度を下げていく。先行している春田さんと穂高は後ろを待つ時間を利用して、ビデオ撮影をしている。 14時少し前 尾根上で谷口が転んで、その場所まで行こうとしていると右側に雪煙が舞っているのが目に付く。雪煙は春田さんと穂高が待 っている木の数十m近くまで達してい た。最初は何が起こったのかまるで分からなかったが、時間が経つにつれて雪崩だということがはっきりしてくる。一緒に見ていた谷口も絶句している。雪煙が収まると中から人が出てきた。雪崩に巻き込まれたようだが大丈夫そうだ。遠目には何事もないように滑り始めたが、しばらく樹林の中で休憩してから行った様だ。 「危険地帯にいると雪崩に巻き込まれるぞ」と言ったら、雪崩を見た谷口は大慌てで下まで降りていった。後日談だがこの時、生きた心地がしなかったそうだ。下にいた春田さんはビデオ撮影を していたが、撮れていただろうか。とにかく雪崩の危険が予想を超えて大きいと分かったので長居は無用とばかりに急ぐことにした。廣光さんのアドバイスで途中から谷口のザックをLが担いで、谷口には空身で滑って行かせる。途中左手にある沢の中にもデブリがあるのが見える。更に下っていくとハマッている小松と御手洗が見え、その辺りから合流して着かず離れずで滑る。小松は通りにくい樹林の間に滑っていってしまい、木にひっかかる。 14時03分 廣光さんと酒井が右手に滑っていくのに小松は左の急斜面であろうところに突っ込んでいく。あわてて御手洗が追いかける。音はしなかった。しかし、雪煙が少し見え、何か騒がしいので降りていくと、恐れていた雪崩が起きたらしい。実際その現場を目撃したのはSL御手洗と小松の二人だけでその話によると、幸い小松も御手洗も巻き込まれてはいなかったが、先ほど見たやつよりも規模は大きそうだ。怪我がないことを確かめて、とにかく早くベースまで下ろうとする。しばらくすると緩斜面になり人心地ついたが、改めて雪崩のことを思い返してみると良く巻き込まれないで済んだ、という一言に尽きる・・・。 15時03分 B.C着。・・・色々あったなぁ。16時食当点火を指示して、各自テントに荷物を運び入れる。食事をして、ミーティングで反省をした後、上級生は酒やつまみを差し入れて宴会モードへと移る。1年生にはスキー練習2日を含む4日間の感想を聞いてみる。雪崩のことや行動中のことを話す人が専らであるが、中には「最近は感想を考えるために行動をしている」などという、たわけ者もいた。それからは今回の合宿のことや、以前の合宿のこと、単なる雑談に花を咲かせて22時就寝。 |
2/13(火) B.C(6:43)-1380m地点・沢渡渉(8:20)-佐渡山尾根-1551m(9:20)-稜線上(10:35)-佐渡山(10:50)-大橋(15:20) |
6時43分 合宿最終日。昨日と同じく朝日と共に行動したかったので、5時起床。朝食・撤収・パッキング・体操を済ませて、6時43分B.C.を後にする。今日の行動はすべて全装行動。加えて1年前ひどく滑りづらかった佐渡山南尾根である。天気は朝焼けがきれいな、快晴。翌日から崩れることを考えると運が非常に良い。まずは渡渉地点を探し出して氷沢川を渡らねばならない。トップの廣光さんがスノーブリッジを、谷に探しながら南下していく。雪崩の要注意箇所を通過してちょっとの所で小さなスノーブ リッジを発見、早速渡る。一人また一人と渡っていくに連れて崩壊が進む。慎重にいってはいるのだが。 最後の3人はツボ足で飛び移るように渡ることにした。1人、川に兼用靴が浸かってしまったが何とか落ちはしなかった。渡渉終了までにかかった時間は1時間40分程度。シールを付けて尾根に取り付く。急傾斜でいささか苦戦するも高度を上げていく。 10時35分 稜線上着。展望が良く正面には小黒姫・黒姫山が聳えている。このまま全装で行っても良かったが、疲労の具合や面白さから当然、空身で行く。東に張り出した雪庇に気を付けて山頂を目指す。去年の巨大さと較べると小さい。稜線上をゆっくり歩いていると、みんなが立ち止まっている。考えていたことは同じらしい。と 言うわけで、紺碧の空part2。青く澄んだ空気の中、聞きなれた、歌いなれた歌が心地よい。山頂まで行くと昨日登った乙妻や近くに黒姫・高妻を臨める。遠くに焼山・火打山も見える。雄大な景色だ。1827mの高くもない山だが、天候に恵まれさえすればこんなに素晴しい。 山頂では1年が雪相撲を取った。結果引き分け。気温が高いので雪の中に埋もれても苦にならない。むしろ積極的に服を脱ぎたいところだ。あまりに気持ちが良く「ここに泊まろうか?」と言う意見が出るほどだ。上級生は1年を囃したてたり、記念写真をとったりしていた。1年の写真を撮るとき希望を聞くと、悉く黒姫なのが少し淋しい気がする。確かに面白い山容はしているが。20分程度の休憩にするつもりだったのだけれど随分とオーバーしてから山頂を後にする。 11時45分 荷物を置いたところまで戻り、いよいよラストの滑降。稜線着までに時間がかかっているので時間的にはキビシく、全装なので到着にはどのくらいかかるか。佐渡山の南尾根は細く意外に厄介だったと去年の記憶がよみがえる。滑り出しは稜線上だが少し行くとすぐ樹林帯の中へ突入。ここからが壮絶であった。今年の小雪でヤブヤブしい。全装オフピステ初体験の1年生は、当然の苦戦を強いられている。 予想はしていたので急なところはツボ足で下らせる。スキー板は廣光さんが手に持っていく。凄い人だ。しかし雪はズボズボいくところと、締まったところがあり、ツボ足でも一筋縄ではいけない。結局スキー板を履かせ直していった。右手に稜線が見えてもう少しだと言うことが分かり、一安心。 15時5分 林道着。予定していた、バスで戸隠まで行き温泉→打ち上げ→解散は、時間的に無理だ。諦めてタクシーを呼んで長野まで行くことにした。余分なものをデポした場所に行き、帰り支度をして丁度きたタクに乗った。 長野駅ではラーメンの店に入り軽く打ち上げをして6時にほとんどの人が高速バスに乗り込んで東京への帰路をたどった。みんな、プレ春合宿お疲れ様! |
再び氷沢川を渡渉(1380m) | 西尾根から佐渡山の稜線へ |
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