65代秋合宿 谷川隊 2013/10/18-20

登山・縦走

65代秋合宿谷川隊は上越主稜線の登山道制覇を目標として掲げて構成された隊であった。結果としてエスケープルートをとることとなってしまい、目標として掲げた長期活動の達成は出来なかった。

尚、谷川隊の隊員については後日フォローワンダリングを行う予定となっている。

 

10月18日(金)

「肩の小屋でも積雪がある」そんな情報がはいってきたのは、昨日の夜のことだった。

秋合宿を2年連続で奥秩父で行ってきた委員会としては、何が何でも奥秩父以外の山域でやりたいという思いがあり、主将Sの「藪漕ぎ合宿をやりたい」という思いと、私の「どこまでも続くような稜線歩きをやりたい。」という思いが重なり、上越という地域に6月頃から目を付けていた。

そんなこともあって、年間方針策定のための初回の監督コーチ会に秋合宿の計画を自信満々で盛って行ったら、全く議論されずに一蹴されてしまうなんてこともあった。

 

そんな強い思いを胸に掲げたまま、この日を迎えた。積雪については確かに心配があったが、そこまで心配していないという面もあった。新歓合宿・錬成合宿と積雪・残雪のある山の経験を現新人も十分に経験していた為である。従って、谷川隊は勿論予定ルートを行くことにしていた。

同日の5時半に出発する奥利根隊に部室で別れを告げ、毎週のゼミに向かった。議題が多かったし先生からのツッコミがキツい日であったため、かなり長引いた。

ゼミを幹事長権限にて何とか切り上げ、急いで高田馬場駅に向かう。ゼミ生には「こんな重いザックを背負って歩くとか、信じられない!」といわれるようなザックの重さは、それほどではない。差し入れにジュースを4リットルと、1キロ位の食品を詰めてあるが団配は5キロ。夏合宿前から新規購入したGREGORY製ザックのお陰で、重さが行動に影響しなくなっている。先代のザックであったら、相当厳しかったであろうが…。

さて、高田馬場駅に集合した本隊のメンバーについて説明しよう。

先ずは新人のO。錬成合宿では膝を痛めてしまったが、夏合宿では問題なかったと聞いている。錬成以降一緒に活動していないので、成長が楽しみである。

続いて新人のM。夏合宿では独特の歌唱センスで皆を爆笑の渦に引きずり込むという奥義を身に付け、大阪出身らしさを醸し出している。真面目で優秀な法学部生という妖しいベールに包まれる男である。

2年生のHは理工の研究室の厳しい課題を何とか超えての参加。錬成合宿に参加できていないので、ここでしっかり2年生としての役割を身につけて積雪期に臨むことを期待している。

そして、Lの3年F。夏合宿では縦走ラウンドのLも務めた。谷川岳は2年生のフォローW-ingからの再挑戦であり、今までは雨天をギリギリでかわしてきた見た目以上な晴れ男説を持つ。

以上4人という少ない構成であり、O以外は夏合宿ボート隊という悲しい構成である。しかし、その分団結力は強いので、厳しい行程も切り抜けられるとLは信じている。

見送りには想像以上のOBOGの方がいらしてくださり、有りがたい限りである。監督はカメラを買い換えたようで、一眼レフを持ってきてくださっていた。現役よりもテンションが高くて、二重の意味で驚いた。(監督のテンションの高さと、現役のテンションの低さという意味。)

沢山の差し入れを頂き、ありがたい限りである。しかし、後輩は3人とも膝に問題を抱えており、今回は試験的な面も兼ねているので、電車で消費できないものはLが持つことにする。ジュースが合計6L、漬物等を含めれば差し入れだけで合計8キロになる。ザックの重さは、錬成レベルになる。

電車を乗り継いで水上へ向かう。新幹線のホームで、後輩達は監督からのドーナッツを頬張って笑顔を見せる。ジャック・オ・ランタンのドーナッツを見て、ハローウィンが近いことを思い出す。祝ったことなど無いのだが。新幹線は立ちっぱなしであったが、高崎まですぐについた。Hは非常に眠そうだ。Mは渡されたケーキを何とか消費したいのだろうか、皆が満腹だといった10分後にまた差し出してきた。「10分経ったから変わると思ったんですよぉ~」などと言っているが、相変わらずこういうところで馬鹿なやつである。

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差し入れのドーナッツに気分上々!

 

高崎から水上行きの電車に乗る。新人時代に最初に参加したW-ingのことを思い出す。水上までの一人旅をして、リバベンの観戦をした。思えばこのW-ingがきっかけでロシア合宿に参加して、大会にも出て、フリップして、死にそうになったのだ。それから自分でW-ingを出して、大会でLも執って、今や代を執るに至っている…。時が経つのは本当に早いものだと痛感すると共に、思えば随分遠くまで来たものだと1人でしみじみと思っていた。

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懐かしの水上駅。活動の原点に立ち返ったような気分になる。

水上駅からのタクシーは30分くらいと聞いていたのに、1時間以上かかった。睡眠時間を何とか確保する為、予定よりも少し遅らせて4時30分起床とした。赤沢スキー場は本当に何も無かった。12時就寝としたが、11時45分くらいには皆寝ていた。

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夜のうちにパッキングに励む新人達。

 

10月19日(土)

4時30分にOの小声が聞こえた。Hが起きないと伝えたら叫び始めるので、軽く説教。周囲の人のことを少しは考えられないのだろうか。相変わらず視野の狭い奴だ。朝食をとり、準備をする。それにしても寝てる間に雨が降らなくて良かったと心から安心した。

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朝の撤収。テキパキ動いていた。

体操をして5時10分に出発。オーダーはH M O Fとした。スキー場はだだっ広くて何も無い。リフトがあるが、冬でも本当に営業しているのかすら妖しい。

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林道歩きからスタート。本当によく分からないルートであった。

若干迷いながらも、登山道らしき道を見つけたので登っていく。しかし、歩いている道と地形図の様子がどうも合わない。歩いていると、ゲレンデに出てしまった。流石におかしいと思い、GPSをきちんと確認していなかったことを後悔する。GPSで確認するとやはり外れており、他の道が無いかHと私で偵察に行く。Hが道らしきものを見つけてきたので、ゲレンデを登っていく。

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登りまくるぜ!!

明かに整備用道であるが、登山道にも繋がっていそうなので進んでいった。案の定、ルートに出ることが出来た。

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明らかに整備用の道ですよね…。

 

ルートにもどってからトラバース道をテクテクと進む。Mは今回のレーションに7000円かけてきたと噂されていたが、これは勘違いしたHが皆に言いふらしていただけであった。実際、レーションは金を書けたほうが良いのは事実であるが。Hは歴代合宿の残り物を利用しているといっていたが、余ったレーションを次の合宿で食べられる気がしない…

2本目の後半からOが隊のペースについていけなくなる。決して早いペースではなく、Hのペースは的確であったが、遅れるということは体調がわるいのだろうか…しかし、聞いてみると体調は問題ないようなので、しっかりついていくように喝を入れる。しかし、次の一本も開始10分で遅れ始める。夏で鍛えてきたはずなのに、明らかな体力不足である。Lの中の錬成スイッチがONに切り替わる。

トップのHにはペースを下げさせず、離れすぎたら止まるようにと指示を出す。Mは何事もなかったかのようについていく。Oはかなり遅れているので、ザックを押したりしながら強引にペースを上げさせる。そういえば昔は登山靴で蹴り倒すみたいなことをしていたと聞いたが、流石にそこまではやらなかった。

押しては遅れ、押しては遅れを繰り返してたが、50分くらい歩いたところで押していた手を話した瞬間にうつ伏せに倒れこむ。一瞬血の気が引いたような気がしたが、足の痙攣が起こっていただけだという。私自身も経験があったので、ストレッチをさせ、団配と水で合計6㌔を解除する。HとMも膝に不安を抱えており、今回は段階的に強度を上げていくつもりであったので、仕方なくLが全て持つことにする。Lのザックの重さは40㌔オーバーとなり、最早錬成を超える。

この頃から雨が降ってきた為、雨具などを付けさせる。新人もテキパキと着られていて関心する。

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ストレッチ中・・・

30分くらいストレッチを行った後で、行動を再開する。Oのペースに合わせて行動していたが、60分歩き続けることは出来ず、45分が限界であった。仕方なく、Oの足が痙攣したら休憩ということを繰り返して、幕場を目指した。

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この合宿唯一の全体集合写真@稲包山山頂

歩き続けて13時10分に幕場到着。想像以上にスペースが無くて驚いた。場所を勘違いしたのだろうか…。仕方ないので、ここに設営することにした。

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明日越える予定の三国峠に向かって、指を三本立てる三人。

IMGP0936頑張って設営したGore-light。狭かったのでLはツェルトで寝ることになった。

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ツェルトを頑張って設営しようとするも、崩壊。諦めてこの状態で寝た。

14時30に点火。ごま鍋は意外と辛くなくて助かった。食後にHから紙パックに入ったカルピスの差し入れがあった。Oは差し入れとして午後の紅茶を持ってきていたが、Hに渡させることにした。上級生ミーティングをやって、天気図を書いてもらう。新人にも書いてもらったのだが、あまりにも崩壊していたので、下界の気象係の上級生2名(HとF)は頭を抱える。あと50枚くらいは書かないといけないだろう。

TPには差し入れのヨーグルトを出した。腐ってしまう前に食べようと思った為…というのもあるが、辛いものの後にはヨーグルトが食べたくなるというのが本音である。カレーは甘口と決まっているので問題ないのであるが。

全体ミーティングではOには厳しめの話をした。積雪期に向けてという思いを込めていたのだが、翌日にはもう話したことを忘れていた。なんて奴だ。

この夜、激しい雨が降り、私のツェルトハウスは崩壊、シュラフもずぶ濡れとなった。ツェルトビバークの良い経験となった。

 

10月20日(日)

何と不快な朝であろうか。全身濡れていて非常に寒い。シュラフもずぶ濡れで非常に思い。雨具は最早ゴアテックスからシミテックスに昇華している。急いでツェルトの撤収を行うが、食当中はテントに入れない。したがって、雨の中外で待ち続ける。

朝の暖かいスープがこれほどまでに有難いと思ったことはない。そして、テントの中の暖かさに不公平感を強く感じたのも事実である。

朝からOは食欲が無いようで、Hに食べてもらっていた。行動すれば食欲が回復するということはよくあることで、私も経験が何度かあるので問題ないだろうと判断した。

朝の撤収では、ザックカバーとスパッツも付けさせた。設定時間を通常通りのままで行ったら、新人は2人とも5分の遅れ…65代初の一喝。あまりにも遅すぎて驚愕するが、この合宿中に仕上げさせようと心に決める。

エレキ行動をしながら1本目。朝から体調が芳しくないOのペースに合わせて歩くことにするが、流石にペースが遅い。コースタイムで60分のところを75分かかって歩くのが精一杯のようだ。

長倉山山頂で休憩をとったときに、Oが胸の痛みを訴える。吐き気や頭痛もあるようだ。顔色も青く、一見してすぐに非常事態であると判断できる。しかし、原因が全く分からないので、体温計・ツェルトで対処をする。

ウール下着を着ていると聞いていたが、実際は着ていなかった。長袖も濡れていたので着替えさせるなどして保温に努める。

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しかし、風も雨も止みそうにない。体温は平熱だが、このままでは悪化するだけであるので、強引に設営を行い、シュラフに入れて休ませる。ここでのビバークも覚悟していた。時々晴れたりまた雨が降ったりを繰り返して休ませること6時間。何とか回復したということで、エスケープをとって下山する。

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三国峠への下りは滑りやすくて歩きにくい。雨上がりというのも大きな要因となっているのだろうが。意外とスムーズに下山は出来た。

タクシーを呼ぶも雨の中で1時間以上も待たされた。ひがきホテルの温泉に入り、利根川を眺めて楽しむ。水上駅で報告書の期限を提示して解散とした。この合宿を企画していたLとしては非常に悔しい結果となってしまったが、冷静に安全な行動判断をくだすことが出来たと思っている。そして、活動に対する情熱と同様にこのような判断も必要なのだと痛感した合宿であった。

 

(最初の画像:三国峠付近 紅葉と上越の沢)

 

文責 F永

Waseda Wander Vogel

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早稲田大学ワンダーフォーゲル部の公式HPです。

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