□期間:2000年11月16日(木)~18日(土)
□地域:八幡平
□隊員:栃谷 佳宏(三年、記録・装備)
宮崎 弘行(二年、気象・医療)
□行動記録
11月16日(木)
18:00に部室を出、東京駅へ向かう。二人ともザックがデポ品ではちきれそうである。19:00東京発の東北新幹線やまびこに乗り、21:45盛岡駅に着く。計画ではこの日のうちに松川温泉に入ることになっていた。が、宮崎の予報では明日から天気が崩れ始めるとのこと。タクシーの運ちゃんに聞いてみると「松川は屋根のあるようなとこはどこにもないよ」。明日朝一番にタクることにして盛岡駅でS.B.する。この駅はシャッターを閉めないようなので、ありがたく出口近くの構内で寝に入ったところで駅員登場。シュラフをバシバシ叩いて起こされ、外に追い出された。地下道の入り口の低くなっている所でこんどこそ就寝。
11月17日(金)
3:20にアラームが鳴る。起き上がり空を見て仰天、雪が降っている。しかも尋常でない降り方である。とりあえずさっさと飯を食いタクシーに乗りこむが、行き先を告げると「事務所よってタイヤ換えます」とのこと。どうやらこの積雪は地元でも予想外であったらしい。それでも5:40、松川温泉着。前にバス停のある「峡雲荘」という温泉宿の軒下に下ろしてもらい、体操をして出発する。登山道の積雪は10cm~20cm程度でラッセルはなし。松川尾根への取り付きは急な階段登りが10分ほど続く。本番エスケープをとって下る時はスキーを脱ぐべきだろう。その後は一定の傾斜のついた尾根上を行く。今回は藪が出ていた為その中の一本道を行けばよかったが、本番は平坦な尾根、ルートファインディングが重要になるだろう。8:45、二本ちょっとで三ツ石山荘着、宮崎に9:10の天気図をつけてもらう間にデポ品をケースに詰めてしまう。
予報ではこれから低気圧が通過し天候が崩れる様子。大深からのエスケープが悪天時困難な事を考え、今日は行けるところまで往復し、明日以降の晴天を待つことにする。三ツ石山荘10:10発。三ツ石山への登りは夏道は右ルートのみあった。本番は当然ピーク目指して稜線上を行く。山頂を越えたあたりから下り側がだだっぴろく、1448のピークへの稜線が分かりづらい。コンパスを合わせ三つ沼を目指すのみ。そのすぐ上、1448からはエスケープの尾根を観察したかったが、ガスで視界は30m程度、ヤブも在り断念。しかし予想通り、ピーク付近もゆるやかに下れそうだ。1448を越えたところですぐに稜線は東を向くので注意。ここで稜線をはずすと明通沢に入りこむ、遭難の王道ルートである。最大高度をはずさないように、注意深く尾根を辿り小畚山を目指す。
小畚山着12:16。ガスの中に臨んだここからの下りは事前情報通りかなりの急斜面で、斜面が氷化すれば相当な難所になるだろう。滑落すれば左右どちらも深い沢になっており命はない。山頂から一度南西向きに緩斜面を下り、50mぐらい下って後、北側斜面へトラバースするのがよいだろう。大深・源太の南面はガスの為観察不能(翌日、下山中の尾根から一瞬だけ見えた)。
天候の悪化を心配する宮崎の意見を採用し、早めにUターンして三ツ石山荘を目指す。13:34、一本で三ツ石小屋着。寒いので小屋の周りにつんである薪を少し割り、ストーブに火を入れる。トイレも中にあり、かなり清潔で快適な小屋である。食当をし、水作りをしてポリタンを満タンにする。16:00の天気図では低気圧は通過しているが、太平洋岸低気圧の通過後ということでこの先西高東低がさらに強まると判断。明日は4:00に起床し、いつでも動けるようにして天候を見て動く事にする。22:00に一度、二人で起きて天気図をつける。
11月18日(土)
4:00起床。5:00にはメシ食って出発準備完了となる。外はガスが濃く昨日と比べ風があり、稜線上はさらに風が強そうである。ラジオは「県内全域で雨または雪」と言っているが、とりあえず天候回復にかけ9:10の天気図をつける。しかし大陸から寒気が入ったようで、富士山の気温は昨夜の-4度から一気に-12度に降下していた。しかも大陸の高気圧はかなり高緯度にあり、移動性高気圧の出現による西高東低の崩れ、そしてそれがもたらす好天は2,3日は期待できそうにない。この時点で下山を決定し、体操をして10:10、すぐさま下山開始。11:53松川温泉着。峡雲荘前にザックを置いて大深のとりつきを見に行き、写真を撮る。旅館の人に、食袋を郵送した場合保管してもらえるように交渉する。さらに余った時間での直接訪問を考え岩手医科大にコンタクトをとったが、土曜は大学が休みとのこと、お礼を言って電話を切る。一時晴れ間も見えた空だが、下山するなりにわかに空が曇り、粒の大きな雪が降ってきた。調査終了。
□行動概略
11月16日(木)
JR盛岡駅S.B.
11月17日(金)
320 起床
盛岡駅 400
540 松川温泉 600
845 三ツ石山荘 1010
1216 小畚山 1230
1334 三ツ石山荘
11月18日(土)
400 起床、朝食
三ツ石山荘 1010
1153 松川温泉
□今回の調査の成果
・デポ品の荷揚げ
・三ツ石山荘の位置確認(④)
・松川温泉-三ツ石山荘間のエスケープ時のルート踏査(⑥)
・小畚山北斜面等危険個所の確認(②)
□残った課題
・大深岳-源太ヶ岳間の南面雪庇の観察、エスケープ時のルート確認(③)
・乳頭山方面の踏査(①)
・大深山荘以北の調査(⑤)
→以上に関する情報を岩手医科大山岳部に照会中
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